松下電器産業の創業者である松下幸之助は誰もが知っている人物であり、松下電器イコール松下幸之助といっても過言ではないほどのネームバリューを持っている。

 そんな松下電器産業に、2008年10月1日、大きな変化が訪れた。
創業90周年を迎えた松下電器産業は、社名をパナソニックと変更。国内の白物家電ブランドであるナショナルもパナソニックへとブランドを一本化し、世界統一ブランドとして商品投入する体制を整えたのだ。

 社名、すなわちブランド名を変更することは、モノを作って売るメーカーとして、ブランドイメージ、売上などを大きく左右する。なぜ日本を代表する企業が、創業者の名前を外してまで社名変更をするという大きな決断を下したのか。

 本書では、パナソニックの社名変更の本当の理由、そのときの社内の様子、大不況も重なり、経営目標の達成不可能、27ヶ所の製造拠点の閉鎖、三洋電機の子会社化など大きな転換期を迎えたパナソニックを追う。

 現在の不況の中、大企業であるパナソニックといえども、その前途は多くの企業と同じように楽観できないが、現社長の大坪文雄氏は「今こそが最大のチャンス」と言ってはばからない。困難に突き当たった時こそが成長のチャンスだという松下イズムはしっかりと伝えられているのだ。数々の苦難を乗り越えてきた同社のノウハウや理念が記された本書は今だからこそ活きる一冊だ。
新刊JPニュース編集部)

『松下からパナソニックへ―世界で戦うブランド戦略』
著者:大河原克行
出版社:アスキー・メディアワークス
定価(税込):¥780
発売中
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