オーストラリア代表は試合前の時点で3勝4分1敗の成績を残し、勝ち点「13」を獲得。グループCの2位につけているが、3位のサウジアラビア代表とは勝ち点差が「3」、4位のインドネシア代表とは勝ち点差が「4」という状況。今回の6月シリーズ2戦目ではサウジアラビア代表との直接対決が控えている。
このような状況で迎えた今節は、スターティングメンバーのうち9名が最終予選に入ってから初先発に名を連ねるなど、フレッシュな日本代表と相対した。試合は序盤から日本代表にボールを握られたものの、中央でブロックを敷く守備的な戦術を遂行し、チャンスを作らせない。両チームともに決定機が限定的なまま終盤に突入すると、90分にはピッチ中央付近でのパスカットから攻撃へ転じ、MFライリー・マッグリー(ミドルズブラ/イングランド)からの折り返しをMFアジズ・ベヒッチ(メルボルン・シティ)が右足で叩き込む。土壇場のゴールにより、オーストラリア代表は1-0で勝利した。
オーストラリア代表にとってはセンセーショナルな夜となったなか、個人として劇的な“カムバック”を果たした選手がいる。チルカーティは最終予選・グループC第2節のインドネシア代表戦(0-0)までは2試合連続でスターティングメンバーに名を連ねていたものの、昨年9月にひざの前十字じん帯断裂の大ケガに見舞われ、およそ7カ月の長期離脱を強いられた。
所属するパルマ・カルチョでは、4月からメンバーに復帰し、セリエAのラスト2試合にフル出場していたものの、オーストラリア代表の試合は3シリーズ連続で欠場。今回、およそ9カ月ぶりの代表復帰を果たしただけでなく、3バックの一角として日本代表の攻撃陣を完封し、フル出場でオーストラリア代表の勝利に貢献していた。
試合後のフラッシュインタビューで心境を問われたチルカーティは「言葉が出てこないよ。
負傷期間を振り返って、「このケガをしたとき、復帰までの道のりをイメージすることができなかった。未知の世界で、わかっていたのは、とてもハードな日々が待っていることだけだ。どのように過ごせば復帰できるかわからない」と本音を明かしたチルカーティ。「ただ、僕は幸運に恵まれた人間だった。ケガをする前よりも、感覚が良くなっていると感じる。実際、このケガから復帰した人の中には、前と同じじゃない人もいるのに」と、感覚的な部分の本音も口にした。
最後に、これまで自らを支えてくれた人々への感謝を口にしたチルカーティは「誰かを特別視するのは間違っていると思う。なぜなら、今日ここにいるみんなが、僕を助けてくれたからだ。すべては支えてくれたみんなのおかげなんだ」などと話しつつ、目に涙を浮かべた。
オーストラリア代表はAFC(アジアサッカー連盟)転籍後、すべてのワールドカップ最終予選で日本代表と同居しているが、勝利するのは2009年6月17日以来、およそ16年ぶりのことだった。オーストラリア代表が勝ち点「3」を積み上げたことで、インドネシアの2位浮上可能性は消滅。この後行われる第9節でサウジアラビアが引き分け以下に終わった場合は、直接対決を待たずにグループCの2位通過が確定する。
【ゴール動画】オーストラリア代表が“ワンチャンス”を活かす