『サッカーの水準向上と、国際社会との親善および交流の促進』を目的として開催となった同大会。U-15 Jリーグ選抜は、愛媛FCやサガン鳥栖の監督経験を持つ川井健太氏が指揮を執った。自身は2024年8月に鳥栖の指揮官を退いてからは、監督業から離れていた。この年代のチームを指揮するのは初めてという川井監督だが、「日本人というところを少し考えた時には、やはり判断、テクニックというものが非常に重要になると思いました。スペースに出されて走られて、それを我々も目指しましょうというものは、おそらく難しいと思います」と、リヴァプール側が見せてきた特徴の比較に言及。「じゃあ、何で勝負するかというと、そういうボールを出させないであるとか、そういうボールももちろん活用しなければいけないですけれども、もっともっと相手を外すことであったり、グループでその局面を突破する、そういうものをもう少し身につけなければいけないし、プロに行く、もしくは世界と戦うとなるのであれば、そこはもうマストかなと思いました」と、日本の選手たちが世界に出て戦うために必要な要素を話す。
対戦相手にもその国の中で育った環境、考え方、文化に基づく思考がサッカーでの戦い方、意識へ反映される部分もある。そういった捉え方の違いを理解して対応するには、早くから世界を経験することも大切になるが、川井監督にその点を向けると、「もしかしたら選手ではないかもしれないですね。指導者なのかもしれないです」と、自身をはじめとした子どもたちを指導する側の意識をアップデートする必要性があると感じているようで、「その感覚を、僕は幸運にもこういうタイミングでいただけたのは、予想していた通りという部分もありました。すごく勉強になりますし、おそらくリヴァプールの選手も、あと1年後にはプロ契約をしてプレミアリーグに出ている選手もいるかもしれません。そういう意味では、自分個人でいくと納得感のあるゲームでもありました」と、指導する側としても体感できたことが糧になると続けた。
リヴァプールU-15の戦い方には「トップチームが目指しているフットボールから逆算して、今の年代に必要なものをしっかりとトレーニングして、ゲームでやろうとしている点が多く見られました。
フィジカル面で言えば、出場したGKは両チームとも190センチ台。フィールドプレーヤーではリヴァプールにも身長の高い選手はいるが、平均身長はJリーグ選抜が大きく、体の厚みや肩幅などの体躯はJリーグ選抜の方が大きく見えたほどだった。川井監督も育成年代での日本側のフィジカルの成長は「感じました。案外サイズ感が負けていないなと思いました」としつつ、「先ほど言った判断スピードでも、彼らの方がやはり速かったです。フィジカル差が『昔はちょっと難しかったよね』というところが、こちらは追いつこうとしているけど、逆に日本人の良さであるアジリティでや速さ、俊敏性では、ちょっと追いつかれてきているかなと。では、我々日本人はまた武器を何にしますかという時代。もちろん、1人で行けるような選手も絶対に必要です。ただ、そこに頼っていると、いつまで経っても素材待ちとなってしまう。どういう素材であっても、いろいろなものを合わせて、最高のものにできるようにしなければいけないなと、指導者として感じました」と、世界と違っていた部分が詰まってきた分、日本の良さ、違いを見つけ、その成長を促す指導者側の役目の重要性を続けている。
31日には中1日で再びリヴァプールU-15と対戦するが、「当初は厳しいスケジュールだと思っていました。今日も足をたくさんつる選手もいました。ただ、我々の目線としては同じ相手と同じメンバーでやれるということが非常にありがたいです。もう練習はしませんが、僕が課題かなと言ったところを、頭の中でどれぐらい解決できるかという部分をちょっと刺激しようと思っています。そこでどう変わるか、考え方一つ変えたらこんなに変わるんだねというものが、選手たちも少しでも感じられたらいいかなと思っています。ただ、すごく楽しみです」と、短期間ではありながらも、最大の効果、経験を得られるように努力するとコメントしている。
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