ビジャレアルは7日、ガーナ代表MFトーマス・パルティの完全移籍加入を発表した。

 トーマスは2024-25シーズン限りでアーセナルとの契約が満了を迎え、退団が決まっていたため、移籍金の発生しないフリートランスファーでの加入となる。
契約期間は2025-26シーズン終了時までにあたる2026年6月30日までだと伝えられた。現地時間の8日より、チームに合流予定となっている。

 トーマスは1993年6月13日生まれの現在32歳。アトレティコ・マドリードのカンテラ(育成組織)出身で、マジョルカやアルメリアへのレンタル移籍を経て、2015年11月にアトレティコ・マドリードでトップチームデビューを飾った。アトレティコ・マドリードでは公式戦通算188試合出場16ゴール12アシストを記録し、2017-18シーズンにはヨーロッパリーグ(EL)優勝も経験。2020年、夏の移籍市場の最終日に契約解除条項を発動する形で、アーセナルへ完全移籍した。

 アーセナルでは初年度から主力に君臨しながら、度重なる負傷にも悩まされた。だが、2024-25シーズンは年間を通して大きな離脱もなく、最終的には公式戦52試合のピッチに立ち、4ゴール3アシストをマーク。チームの中心選手として活躍したが、現行契約は2025年6月30日までとなっていた中、新契約締結で合意することができず、同シーズン終了後のアーセナル退団が決定。アーセナルには5年間在籍し、公式戦通算167試合出場9ゴール7アシストを記録した。

 なお、トーマスについては今年7月4日、ロンドン警視庁によって、強姦5件および性的暴行1件の容疑で起訴したことが発表されていた。当初、イギリス『BBC』をはじめとする複数メディアによって、プレミアリーグに所属する選手が性的犯罪の容疑で捜査されていると報じられていたものの、被疑者の名前は伏せられていた。
しかし、今回は実名が明るみに出る形となっており、2021年から2022年にかけて発生したとされる6件の事件で起訴されていた。

 イギリスメディア『BBC』によると、トーマスは5日、ウェストミンスター治安判事裁判所に出廷。報道によると、審問は15分程度で終了し、トーマスは罪状認否は求められず、起訴内容と保釈条件を伝えられたうえで、答弁を求められたとのこと。イギリス人ジャーナリストのベン・ジェイコブス氏によれば、トーマスに課された保釈条件には「事件に関係する女性との接触禁止」や「住所変更・海外渡航の際には警察への事前通知が必要」といった内容が含まれているという。次回の出廷は、9月2日に中央刑事裁判所(オールド・ベイリー)で行われる予定となっている。

 このような状況を受けて、ビジャレアルは声明を発表。「クラブは同選手がイングランドで訴訟手続きに巻き込まれていることを認識しています。同選手は断固として無実を主張し、自身にかけられた容疑を全て否認しています。クラブは推定無罪を基本原則として尊重し、同選手に不利な事実を明らかにする裁判所の判決を待ちます。進行中の訴訟に関する英国法に鑑み、クラブはこの件についてこれ以上のコメントは控えさせていただきます」とした。

 同様に、「ビジャレアルは、尊重と多様性への確固たるコミットメントを改めて明確に表明し、ジェンダーに基づくもの、差別的、人種差別的、外国人嫌悪的、あるいは人間の尊厳を侵害する行為など、あらゆる形態の暴力行為を非難します」ともメッセージを発信している。

 2024-25シーズンのラ・リーガを5位で終えたビジャレアルは、今季のチャンピオンズリーグ(CL)出場権を手にしている。
今夏の移籍市場では、ナポリからU-21スペイン代表DFラファ・マリンをレンタル移籍で獲得したほか、昨季途中よりインテルからのレンタル移籍で在籍していたカナダ代表MFタジョン・ブキャナンは完全移籍へ移行。アトレティコ・マドリードからウルグアイ代表DFサンティアゴ・モウリーニョ、ラス・パルマスからU-21スペイン代表FWアルベルト・モレイロもで迎え入れており、トーマスは今夏5人目の補強となった。
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