中断明けの前節は堅守を誇るヴァンフォーレ甲府から3得点を挙げ、後半戦での巻き返しを狙うモンテディオ山形。夏のホームゲーム恒例『夏祭りだモン』が幕を開け、選手たちは夏の夜空をイメージした青と黒がベースの特別ユニフォームを着用し、首位・水戸ホーリーホックとの一戦に臨んだ。


 試合は開始5分、20分と前半に2失点を喫し、後半アディショナルタイムに途中出場の堀金峻明が1点を返すも万事休す。雨の中集まった約1万6000人のファン・サポーターに勝利を届けることはできなかった。山形を率いる横内昭展監督は「このゲームは本当に勝ちたかった。選手も同じ思いでゲームに臨みましたが、勝利を届けることができなくて申し訳なく思っています。攻撃に関しては少し臆病になりすぎていて、ボールに人数をかけられなかった。そういった動きの量や質は、前半少なかったと思います。後半はギアを上げて押し込む時間を作り、カウンターを受けましたが、怖がらずに最後まで戦ってなんとか1点もぎ取ってくれました。同点、逆転までは行けずに残念に思っています」と試合を総括した。

「立ち上がりにああいった形で失点してしまうと難しい試合になりますし、首位との差はあったのかなと思います」と話したのはボランチのポジションで先発し、85分までプレーした田中渉だ。「もっと前半から足を振るとか、もっとテンポを上げて相手布陣のスペースを崩していくとか、そういったものが少し足りなかった」と振り返る。2点を追いかける後半はより高い位置でプレーし、正確な左足からチャンスを生み続けた。「ホームで勝ちに行くというのもあったので、ボランチでしたけど前に出て攻撃参加しました。
そこで早いうちに得点が取れていたら展開が変わったかもしれないですけど、そこはまだまだ僕自身のクオリティも足りないですし、そういうところをもっと突き詰めていかないと、こういうゲームを落としてしまうことになる」と自身に矢印を向けた。

 田中は2023年に山形に完全移籍加入し、昨季は期限付き移籍先の鹿児島ユナイテッドFCでプレーした。鹿児島では主に2列目で起用されており、水戸戦の後半に見せたような広範囲に動き、攻守でアグレッシブにプレーするスタイルは武者修行先で磨いた武器だろう。「鹿児島ではいろいろなポジションをやらせてもらいましたし、90分出してもらえることも多かったので、その強度のところは一昨年よりやれている感覚はあります。それでも今日は足を攣ってしまっていますし、まだまだ足りないと思う。そこは練習からやっていくしかないと思うので、もっともっと自分にベクトルを向けてやっていきます」と意気込む。

 今夏の移籍市場では髙江麗央(横浜FC)、小西雄大(柏レイソル)の主力ボランチ2人が相次いでJ1に個人昇格した。中断明けからボランチコンビを形成する田中、中村亮太朗は主軸へと成長し、山形を引き上げる活躍が求められる。田中は「2人(髙江、小西)がいなくなりましたが、穴埋めだとは思っていないですし、自分には自分の良さがあるので。そこを出しつつ、まだまだ足りないところが多いので、精度やポジショニングを上げながら、攻撃の良さもどんどん出してチームの勝利に貢献できるようになっていきたい」と力を込めた。

取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)


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