「ルッジェーリとラスパドーリは、“不可能ミッション”に近いものに直面する」と、スペイン紙『アス』は指摘する。今夏の移籍市場において、クラブ最初の新戦力となったルッジェーリと、11日時点で最後の新戦力となっているラスパドーリは、前者はアタランタから、後者はナポリから、それぞれアトレティコ・マドリードに史上9人目と10人目のイタリア人選手として加入した。裏を返せば、過去に8人の同胞が“赤と白”のシャツに袖を通したことになる。そして、そのほとんどが、“成功”と“定着”を成し遂げることができなかった。
1997年夏、ユヴェントスから加入したクリスティアン・ヴィエリ氏は、マドリードを象徴するクマとヤマモモの木が描かれたエンブレムを左胸につけた、最初のイタリア人選手である。1997-98シーズンの公式戦で32得点を記録したほか、ラ・リーガではピチーチ賞(得点王)を受賞。“重戦車”の愛称で知られた同氏は、確かにゴールを量産し活躍した。が、わずか1年でラツィオへと移籍したため、成功かどうかはともかく、定着したと言うことができない。
その後に加入した、ステファノ・トリージ氏やミケーレ・セレナ氏、ジョルジョ・ヴェントゥーリン氏やデメトリオ・アルベルティーニ氏もコンスタントにプレーしたり、印象的なゴールを決めたりこそあったが、2年目を迎えることはなかった。また、2007年夏に6人目と7人目として到着した、ティアゴ・モッタ氏やクリスティアン・アッビアーティ氏も同じくであり、この夏まで最後のイタリア人選手であったアレッシオ・チェルチ氏に至っては、2年間で公式戦通算11試合の出場にとどまった。
また『アス』は、「これはスペインのチームでは一般的なことで、イタリア人選手は例外を除いて結果を出せない傾向にある」と言及。対照的に、“成功”と“定着”を成し遂げた数少ない選手として、2度のリーグ優勝に貢献したファビオ・カンナヴァーロ氏と、ビジャレアル時代に4シーズン連続の2桁得点を達成したジュゼッペ・ロッシ氏を挙げた。
今夏の大型補強では、ラ・リーガの実力者も含めた10選手を獲得しているアトレティコ・マドリード。カギを握るのは、過去8人の同胞が誰ひとりとして成し得なかった不可能ミッション”に挑戦する、ルッジェーリとラスパドーリだ。両者がマドリード、ひいてはスペインの地で活躍したとき、ロヒブランコスはより多くのタイトルに近づくことになるだろう。