株式会社LDH JAPANが〈Dreams For Children〉をテーマに開催しているこの大会は、2010年のスタート以来、今夏で13回⽬を迎えた。
試合に先立って行われた開会式では、ゲストとして会場に駆けつけたEXILE MAKIDAIさんが「この大会がみなさんの未来の夢につながる、素敵なイベントになればうれしいです。選手のみなさんの全力プレーが楽しみですし、自分も精いっぱい一緒に盛り上げていきたいと思います」とあいさつ。
また、同じくゲストとして参加したガールズグループ、iScreamの3人を代表してRUIさんが「初めて『EXILE CUP』の会場に来ることができて、本当にうれしいです。暑い中ですが、最後までみんなでひとつになって駆け抜けて、思い出に残る素敵な一日を作れたらな、と思っています。一緒に楽しみましょう!」と選手たちにエールを送った。
続いて、地元札幌で活動するダンスと歌のスクール、EXPG STUDIO SAPPOROのキッズメンバー10人がパフォーマンスを披露。最後はおなじみの「クラッキ!ダンス」を全員で踊ってウォーミングアップすると、いよいよ全6面のコートで予選リーグのキックオフを迎える。予選リーグは4チームずつ、A~Lの12ブロックに分かれてリーグ戦を行い、各ブロックの1位となった12チームと、2位の中から成績上位の4チーム、計16チームが決勝トーナメント進出となる。
予選リーグから圧巻の得点力で3連勝を決めた実力派のチームもあれば、3チームが2勝1敗で並び、得失点差の勝負となった大接戦のブロックもあった。中でも注目が集まったカードは、三つどもえの争いとなったIブロックの星置FC(札幌市)と幌別西サッカースポーツ少年団(登別市)の対戦。互いに得点を取り合うシーソーゲームの展開となり、コートを広く使った効果的な攻めでリードを広げた星置FCが3―2で勝利した。
決勝トーナメントでは、1回戦で対決したOne Eight FC(札幌市)と、『EXILE CUP 2019』準優勝の実績を持つプレイフル函館ジュニア(函館市)の一戦が印象的だ。開始早々に先制点を挙げたOne Eight FCは、連動した動きで攻勢を強め、連続でCKを獲得する。このセットプレーのチャンスを生かして2点目を決めると、後半にもさらに1点を追加。プレイフル函館ジュニアの反撃を前半の1点に抑え、巧みな試合運びで勝利をつかんだ。
前年優勝チームのFC Kitago PIVO(札幌市)を筆頭に、質の高いチームがそろった決勝トーナメントを勝ち上がったのは、STS千歳ペレーダMCI(千歳市)と発寒パープル(札幌市)の2チーム。STS千歳ペレーダMCIは決勝トーナメントを無失点と抜群の安定感を誇り、一方の発寒パープルは予選リーグ3試合で23得点と攻撃力をアピールしつつ、決勝トーナメントではPK戦や1点差の接戦を粘り強くモノにしてきた。
決勝戦はこの日7試合目ながら、互いに疲れを感じさせない好ゲームとなった。ボールへの寄せが早く、ともに一瞬の隙をうかがう展開。先に均衡を破ったのはSTS千歳ペレーダMCIだった。左サイドをうまく突破してシュートまで持ち込んだ菊地絢翔(あやと)くんが、豪快にゴールネットを揺らして先制。流れをつかんだSTS千歳ペレーダMCIは前半のうちに追加点を挙げ、スコアを2―0とした。
しかし後半に入ると、発寒パープルの猛攻が始まる。CKからのセットプレーや迫力満点のロングシュートで再三の決定機を迎えたが、STS千歳ペレーダMCIのゴレイロ、草嶋優心(ゆうじん)くんが好セーブを連発。2点のリードを守り切ったSTS千歳ペレーダMCIが優勝を決めた。
STS千歳ペレーダMCIの白木龍一監督は「堅守速攻がこのチームの持ち味。まずはディフェンスから入って、しっかりシュートで終わろうと話し合っていました。チームとして大切にしているのは、何よりも楽しむこと。今日の大会でも選手たちは元気に楽しめていたと思います」と手応えを語った。
決勝で豪快なゴールを決めた菊地くんは「チーム全体としては、しっかりボールを回しながらゴールまでつなげられたところが良かったと思います。チャレンジする精神を忘れずに、シュートの精度をもっと高めて、全国大会でも優勝を目指します」とコメント。ゴレイロの草嶋くんは「決勝トーナメントの4試合を無失点に抑えることができたのは大きな収穫。決めるところをしっかり決められたのが勝因だと思います。キャッチングなどの技術をさらに磨いて、全国大会でも絶対優勝したいです!」と意気込みを語ってくれた。
熱戦を見守ったEXILE MAKIDAIさんは「決勝戦は気持ちが前面に出た熱い試合で、感動しました。今日一日を通して、どのチームも最後まであきらめずに頑張っていたのが印象的でした。勝ち負けを超えた全力プレーの精神が素晴らしかったですし、きっと次につながるんじゃないかなと思います」と大会を総括した。
iScreamの3人も「こんなにも間近で見る迫力満点のプレーに、終始鳥肌が立ちました! 朝から夕方まで長丁場でしたが、一瞬に感じるくらい見どころ満載で、夢中になって応援していました。 すごく感動したし、明日からまた頑張ろうって思えるパワーをもらいました!」(RUIさん)、「弟がサッカーを習っていて、よく試合を見に行っていたので、そのころを懐かしく思い出しました。ピッチの中やイベントブースでみなさんとたくさん交流ができました。選手たちが気さくに話しかけてくれたのが、すごくうれしかったですし、楽しい一日になりました」(YUNAさん)、「チームによって雰囲気やカラーが全然違うのが面白くて、ずっと集中して観戦していました。選手のみんなが全国大会出場に向けて必死に頑張っている姿や、等身大のピュア姿に心を打たれました。また『EXILE CUP』に来て、もっとたくさんのチームを見てみたいです!」(HINATAさん)と、それぞれの言葉で大会を振り返ってくれた。
また、この日は地元ブラインドサッカーチーム「ナマーラ北海道」の協力のもと、ブラインドサッカー体験会も実施。各チームの選手やゲスト陣が参加し、アイマスクをつけて視覚障がいを持つプレーヤーと同じ状態でのプレーを体験した。次世代を担う子どもたちにとっては、インクルーシブ(すべての人々が尊重し合い、共生できる社会を目指す考え方)意識を高める貴重な機会となったことだろう。
優勝したSTS千歳ペレーダMCIは、2025年9月14日にアシックス里山スタジアム(愛媛県今治市)で開催される決勝大会への出場権を獲得。北海道代表として、全国の強豪が集う大舞台に挑む。
取材・文=能登 亨樹 写真=上野 公人