日本代表のコーチを務める前田遼一氏が取材に応じた。前田コーチが日本代表のコーチングスタッフとして加入して以降、今回が初めての取材対応となった。


 現役時代はストライカーとしてジュビロ磐田、FC東京、FC岐阜で活躍し、磐田時代の2009年と2010年はJリーグ得点王に輝いた。また2007年に日本代表デビューを飾り、通算33試合出場10得点を記録している。2020年限りで現役を引退し、古巣である磐田U-18のコーチ、監督を歴任。2023年に発足した第2次森保ジャパンからコーチとして加わった。

 指導者キャリアをスタートさせて約2年での日本代表コーチングスタッフ抜擢は異例とも言える早さだ。前田コーチは「藤田俊哉さんからそういったお話があると聞き、名誉でありがたい話でしたが、自分がやっていた仕事に対するやり甲斐もあったので迷いました」と明かす。葛藤する中で決め手となったのは「一緒にやろう」という森保一監督からの電話だった。「直接お話したのは(2022年の)年末頃でした。自分の中で決めていたので『お願いします』とお伝えしました。『一緒にやろう』と言っていただけたことが全てかなと思います」と就任の経緯を語ってくれた。

 前田コーチが担当する領域は攻撃面でのセットプレー。「前任の上野優作さんがやられていたところに入るので、自然とそういった形になった」という。
ここまでの活動で最も印象に残っているのは「アジア最終予選の(遠藤)航ファーストゴール(vs中国代表 12分)。選手たちが練習通りの形を出してくれた」と手応えを口にする。“最高の景色”を目指す2026年のFIFAワールドカップへは「もちろん楽しみ」と話しつつも、常に“危機感”を持って仕事に取り組んでいるそうだ。

「もちろん楽しみな気持ちはあります。W杯出場が決まった後に森保監督が『誰も保証されていない』という話をしました。それは自身も含めという意味です。それが自分の中に残っています。W杯の舞台でしっかりと結果を出すためにやっていきますが、次の9月で結果を残せなかった場合『もしかしたら……』という思いも持ちつつ、一戦一戦大事にして今までやってきたことを積み上げていきたいと思います」

 9月にはW杯の舞台であるアメリカにてメキシコ代表、アメリカ代表と対戦する。「継続して積み上げることと、新しいこと。手の内を隠すのではなく、チャレンジをしてやっていくという方が強い。これからいい対戦相手とできるので、今はそういうイメージです」と前田コーチ。「一つでも多くの得点やチャンスを作って、日本代表の勝利に貢献していきたい」と意気込んだ。


取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)
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