下田コーチは選手として17年間、コーチとして7年間、サンフレッチェ広島に在籍。
中でもパルマ・カルチョに所属する鈴木の成長は目覚ましく、FIFAワールドカップ26 アジア最終予選では日本の守護神として君臨。史上最速での予選突破を支えた。「アジアカップでの苦い経験をしっかりと生かし、アジア最終予選でしっかりとプレーできたことが評価になっている思います。それを生かせるか、生かせないかが大事ですけど、彼は生かせている。5大リーグの中でミスがありながらも経験を積んでいます。彼にとって環境がより難しいものになった中、それを一つずつ越えてきてくれていることが、良い成長につながっている」と評価した。また「後ろからの映像」を見ると、鈴木の能力の高さがより分かるという。
「彼の良いプレーを育成年代のGKコーチと共有する時、後ろからの映像を使います。ボールが動くとどれだけ動いているか。サポートするためにどれだけ動いているか。
先月行われた東アジアE-1サッカー選手権2025の初戦後、連戦や疲労を考慮して大半の選手が室内調整となった中、GK早川友基と大迫敬介の2人のみで練習したことがあった。その日の練習では大迫と早川が前田遼一コーチ、長谷部誠コーチの強烈シュートを約1時間浴び続け、レベルアップに務めた。下田コーチは「早川選手は鹿島で練習を結構するタイプ。大迫選手は我々のプランで韓国戦に出る可能性が高かった。本当はオフでも良かったかもしれないですけど、その中でコンディション面でやることがベストでした。長谷部コーチ、前田コーチを使わせていただいて『選手に近いインパクトのシュートを打ってくれ』と伝えました。自分が蹴るとちゃんと見れない部分も多少あるので、それを同時にできるメリットもありました。彼らにとって取れるボールよりも、リアルなボールを受けることが良かった。うまくチームの中でいろいろなところでバランスが取れていい練習でした」と振り返った。
当時の練習後取材で森保監督は「GKはフィーリングが大事ということで、下田コーチが『GKはトレーニングをする』と言ったので、そこは任せています」と説明。下田コーチの判断を尊重した形だ。こうしたやり取りからも分かるように、森保監督にとって下田コーチは全幅の信頼を置く存在である。下田コーチは「任せてもらえること、意見を汲んでもらえることはありますが、同時に与えられた役割に対する監督からの厳しいジャッジもあります。信頼してもらっているからこそ厳しい部分もある」と明かしている。
取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)