プレミアリーグで3年連続2位に終わったアーセナルが、今夏の移籍市場で大型補強に乗り出すことは以前から予想されていた。
アーセナルの動きは早かった。スペイン代表GKケパ・アリサバラガが補強第一号となると、スペイン代表MFマルティン・スビメンディとデンマーク代表MFクリスティアン・ノアゴールを獲得し、トーマスとジョルジーニョの後釜を確保。イングランド代表FWノニ・マドゥエケ、U-21スペイン代表DFクリスティアン・モスケラと続き、スポルティングで驚異的な決定力を発揮していたスウェーデン代表FWヴィクトル・ギェケレシュを新エース候補として迎え入れた。
さらに補強は続く。ドイツ代表FWカイ・ハヴァーツの負傷を受けて、アカデミー出身のイングランド代表MFエベレチ・エゼをスカッドに加えると、移籍市場最終日にはエクアドル代表DFピエロ・インカピエを獲得。8名の新戦力を加えたことにより、アーセナルは各ポジションに実力者2人が控えると言っても過言ではないプレミアリーグ屈指の強力な陣容を整えた。
交渉を主導していたのが3月末に就任したばかりのアンドレア・ベルタSD(スポーツディレクター)だ。アトレティコ・マドリードで数多の大型取引を成功させてきた敏腕SDは新天地でもその能力を遺憾なく発揮。イギリスメディア『アスレティック』によると、クラブ関係者はベルタSDの仕事に対する姿勢や幅広い人脈、効率性に感銘を受けており、とりわけ交渉力が称賛されているという。
インカピエの獲得はベルタSDの優れた交渉力が発揮された取引だったという。
そこで、ベルタSDはアーセナルとレヴァークーゼン双方が完全移籍のオプションを保有する契約を提案した模様。『アスレティック』はこの内容について、仮にアーセナルがオプションを行使しない場合でも、レヴァークーゼンがオプションを行使することで買い取りを強いることができる仕組みだと報じている。ベルタSDの創意工夫により、5200万ユーロ(約90億円)の買い取りオプションと10%の売却条項が付随したレンタル移籍が実現することとなった。
一方、これまでも課題として挙げられていた選手売却は今夏もそれほど上手くいっておらず、今後の課題になると『アスレティック』は指摘している。