北中米3カ国で共同開催されるFIFAワールドカップ26を約1年後に控え、各地で本大会の出場権をかけた予選が進行中だ。

 アジアでは日本代表が圧倒的な強さを見せつけ、3試合を残して8大会連続8度目の本大会出場が確定。
南米では前回大会王者のアルゼンチン代表が危なげなく突破を決め、苦しんだ“王国”ブラジル代表も23大会連続23度目の本大会出場を決めている。

 全大陸を通じて最多の「16枠」が割り当てられている欧州もいよいよ予選が本格化。そんな中で注目を集めているのが、2大会ぶり13度目のワールドカップ出場を目指すスウェーデン代表だ。かつて世界的ストライカーであるズラタン・イブラヒモヴィッチを擁した“北欧の雄”だが、現在のチームも前線に強力なタレントを揃えている。

 主軸となっているのが今夏の移籍市場でも話題をさらったアレクサンデル・イサク(リヴァプール)とヴィクトル・ギェケレシュ(アーセナル)だ。ニューカッスルとスポルティングで得点を量産し、今夏にステップアップを果たした両選手だが、代表チームでもイサクが通算16ゴール、ギェケレシュが通算15ゴールと結果を残している。さらにはデヤン・クルゼフスキ(トッテナム・ホットスパー)やアンソニー・エランガ(ニューカッスル)も控えており、前線の戦力は欧州屈指と言っても過言ではないだろう。

 協力攻撃陣を率いるのはヨン・ダール・トマソン監督。かつてデンマーク代表のエースストライカーとして通算52ゴールを挙げた49歳は、マルメFFやブラックバーンを経て、昨年3月からスウェーデン代表の指揮を執っている。トマソン監督の就任後、スウェーデン代表は9勝1分4敗という成績を収めており、14試合で挙げた得点数は「34」に上る。

 イギリスメディア『スカイスポーツ』の取材に応じたトマソン監督は「これは大きな挑戦であり、私はそれを楽しんでいる。何かを作り上げるのが好きなんだ。
レゴのようなものだよ。私はデンマーク人なので、パズルのピースを一つ一つ正しい位置にはめ込むことを心得ている」と冗談を交えて語りつつ、スウェーデンが誇る強力な攻撃陣についても言及した。

「私が就任した頃は『イサクとギェケレシュは一緒にプレーできない』という議論もあった。しかし、素晴らしい選手たちはどんな状況でも一緒にプレーすることができる。監督としての私の仕事は彼らがパフォーマンスを発揮し、自分自身を表現するための最適な環境を作ることだ。そして、彼らは今のところ素晴らしいプレーを見せている。素晴らしい性格と個性を持ち、一緒にプレーすることを楽しんでいる。ゴールを決めるのが大好きで、ゴールのために生きている」

 自身もストライカーだったトマソン監督は「彼らは世界最高峰の選手の2人だ。似ている部分もあるが、違う部分もある。ギェケレシュのチャンネルラン、イサクの背後へのランはいずれも非常に高いレベルだ。彼らの力量があればゴールを決めてくれるし、最終的には私たちが満足できる」と言葉を続ける。指揮官が「もうすぐ素晴らしい黄金世代が生まれるかもしれない」と自信をのぞかせる中、イサクとギェケレシュはスウェーデンをワールドカップ出場に導くことができるだろうか。


 スウェーデン代表は欧州予選でグループBに入っており、スイス代表、スロベニア代表、コソボ代表と本大会出場権を争う。
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