約10カ月に迫ったFIFAワールドカップ26での「優勝」という壮大な目標に向かい、日本代表は新たなスタートを切る。FIFAランキング17位の日本代表は、9月7日(日)日本時間11時~FIFAランキング13位のメキシコ代表と対戦。
注目の一戦はNHK総合にて生中継、NHKプラスで同時・見逃し配信、U-NEXTにてリアルタイム配信(有料)・見逃し配信される。

 2023年11月にFIFAワールドカップアジア2次予選が開幕し、以降はアジアカップ、2次予選、そして最終予選と、直近の約2年間はアジアの国々としか対戦していない。アジア以外の国との最後の対戦は、23年10月のチュニジア代表戦(2-0/ノエビアスタジアム神戸)までさかのぼる。「A代表でアジア以外の国とやるのは初めて(細谷真大)」という選手もいる。アジアでの戦いで得た手応えをW杯決勝トーナメント常連国のメキシコを相手にぶつけて行きたい。

 舞台はアメリカ・カリフォルニア州のオークランド・コロシアム。すでにチケットは完売となっており、約4万人のメキシコ代表サポーターが集結する見込みだ。「フレンドリーマッチはホームでやることが多くて、後押しされた中でやれていますけど、アウェイでの経験はなかなかできないですし、非常に良い試合になると思います」と話したのは鎌田大地。FIFAランキング上位国とアウェイで真剣勝負ができることは、今後を見据えても大きい。世界の頂点に向かって突き進む日本代表の“現在地”を示す一戦になりそうだ。

日本代表vsメキシコ代表 予想スタメン


 インターナショナルマッチウィーク10日間で2試合を行うこと自体に変わりはないが、今回はやや変則的な日程となっている。通常では月曜日に始動し、木曜日または金曜日に試合が行われることが多い。
今回のメキシコ戦は土曜日のナイトゲーム。次戦のアメリカ代表戦(9月10日 日本時間8時37分キックオフ)は長距離移動を含む中2日というハードスケジュールになるが、初日から大半の選手が揃い練習を重ねてきた。鎌田も「やっていたことは変わらないですが、コンディションとしてはいつもより良い」と話している。

 森保一監督は公式会見で「まずはアジア予選でやってきた我々の戦い方をぶつけて行く。我々は何ができて、さらに何を上げていかないといけないのか。何が足りなくて、何を改善しないといけないことがあるのか。アジア予選をベースに明日の試合に挑みたい」と明言。アジア最終予選から本格導入された『3-4-2-1』布陣で臨むことが濃厚だ。

 GKはアジア最終予選で目覚ましい成長を遂げた鈴木彩艶。最終ラインは右から板倉滉、渡辺剛、そして瀬古歩夢という並びが予想される。主に町田浩樹、伊藤洋輝が務めてきた3バックの左には、左右両足でのフィード能力に長けた瀬古が抜擢されそうだ。ボランチはキャプテン遠藤航と佐野海舟の“新旧ブンデスリーガ デュエルマスターコンビ”。
豊富な運動量、球際の強さ、ボール奪取力に長けた2人の働きはこの試合の鍵を握りそうだ。

 注目は左ウイングバックの人選だ。初日は個別でのコンディション調整、2日目は部分合流となっていた三笘薫。3日目から完全合流を果たし、本人も「大丈夫です。(メニューは)全部やってます」とコメントしているが、森保監督はどう判断するか。アジア最終予選で左ウイングバックを務めることも多かった中村敬斗が不在となっており、次点は前田大然、4日の練習では左サイドでプレーしていた伊東純也も候補となりそうだ。

 右ウイングバックにはアジア最終予選から引き続き10番・堂安律と予想した。一方で堂安は4日の練習で1列前の右シャドーポジションもこなしており、菅原由勢が右ウイングバックを務める可能性もありそうだ。シャドーには久保建英南野拓実、最前線に上田綺世が入るだろう。

「自分たちのイメージでは、最終予選を勝つためにやってきたわけではない。それができるだけのメンバーは揃っていますし、それができなければW杯優勝は見えてこない。楽しみというか、いよいよワールドカップへの準備が始まるなという感じです(遠藤)」。
アジアとの戦いで磨いてきたスタイルはどこまで通用するのか。いよいよ始まる“世界一への挑戦”は、メキシコ戦から本格的に動き出す。

取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)
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