今夏の移籍市場でバイエルンに加入したセネガル代表FWニコラス・ジャクソンが、紆余曲折あったチェルシーからの移籍を振り返った。6日、イタリア紙『Tuttosport』が伝えている。


 今夏の移籍が濃厚視されていたN・ジャクソンは、バイエルンに1300万ポンド(約26億円)のレンタル料に、5620万ポンド(約112億円)の買い取りオプションが付随した契約で一時は交渉がまとまり、ドイツに移動してメディカルチェックを受ける寸前となっていた。

 しかし、そこでチェルシーに今夏新加入したU-21イングランド代表FWリアム・デラップが負傷交代となるアクシデントが発生。これを受けてチェルシーが、N・ジャクソンのメディカルチェック受診許可を取り消し、同選手にはロンドンに戻ることを要請した。

 この決定にN・ジャクソン陣営は憤怒し、チェルシーに戻る意思がないことを明確にしてバイエルンへの移籍成立に向けて動き続けると、チェルシーは今夏にサンダーランドに武者修行に出していたU-21スペイン代表FWマルク・ギウを呼び戻すことに成功したことで、再びN・ジャクソンの移籍に向けてバイエルンとの交渉を開始。最終的には当初から望んでいた買い取り義務条項の条件も取り付け、ドイツメディア『スカイスポーツ』によると、レンタル料は1420万ポンド(約28億円)で、一定の出場試合数を満たした場合には5625万ポンド(約112億円)の買い取り義務が発生する契約でクラブ間合意に至ったことが伝えられている。

 最終的に望んでいたバイエルンに加入したN・ジャクソンは混沌とした移籍市場閉幕間際の心境について聞かれると、「とても胸が張り裂ける思いだった。でも、皆が想像するような理由ではなかった」ことを明かした。

「世界屈指のクラブと契約し、新たなリーグや素晴らしい選手たちと出会えたことが、ただただ嬉しかった。でも、それと同時にチェルシーやチームメイト、ファンと別れることが少し寂しかった。そこではカンファレンスリーグとクラブワールドカップで優勝するなど、たくさんの感動を味わった。今は新しいプロジェクトに100パーセント集中している。アリアンツ・アレーナの素晴らしい雰囲気を体験するのが待ちきれないよ」

 さらに、一時バイエルンとの交渉にストップがかかったことには「正直言うと、アドバイザーと僕は非常に自信を持っていた。
バイエルンと契約することには何の疑いもなかったので、冷静に受け止めていた」と振り返った。

 また、チェルシーを離れることになって経緯について聞かれたN・ジャクソンは「サッカーにはサイクルがつきものだ。時には物事が思うように進まないこともあるけど、それもサッカーの一部だ」と語りながら、チェルシーには感謝していることも強調した。

「僕はエンツォ・マレスカ監督を尊敬している。彼から多くのことを学んだ。彼には独自の考え方とスタイルがある。ただ、キャリアのこの段階では何か違うものが必要だっただけだ。後悔は全くない。チェルシーで過ごした時間には感謝しかないよ」
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