去る9月7日(日)、小学4年生から6年生を対象としたフットサル大会『EXILE CUP 2025』の九州大会2が佐賀県のSAGAスタジアムで開催された。4月の関東大会を皮切りに始まった予選大会はいよいよクライマックスを迎え、同日開催の九州大会2と関西大会の結果で決勝大会の出場チームが出そろった。
昨年に続いて佐賀県での開催となった今大会には36チームが参加。9月14日に愛媛県今治市のアシックス里山スタジアムで開催された決勝大会への切符を懸けた真剣勝負が行われた。

 会場にはEXILE ÜSA、さん、EXILE TETSUYAさん、EXILE NESMITHさん、Leolaさんが駆けつけた。EXILE ÜSAさんは開会式で「一人ひとりが主役の日です。勝っても負けても、これから続く物語の最高の1ページになるように完全燃焼してください」と激励。続いて、総合エンターテインメントスクール「EXPG STUDIO FUKUOKA」のキッズダンサーたちがパフォーマンスを披露した。最後はEXILEの楽曲「VICTORY」に合わせ、大会恒例の「クラッキ!ダンス」を全員で踊って体をほぐした。

 予選リーグは4チームずつ9ブロックに分かれて総当たり戦を行い、各ブロックの1位と、2位の成績上位7チームが決勝トーナメントに進出する。中でも目を引いたのは、初戦から高い技術力で相手を圧倒したGRANDE LAZOS FC U-12(佐賀県佐賀市)だ。前半だけで7点を奪い、後半さらに7点を追加。次々とゴールを決める攻撃陣の背後には、チームを支える2人の選手がいた。

 DFの加茂彩海さんは「ゴールにあまり関われなかった」と言うが、ピッチ全体の動きを把握しながら攻守のバランスを取っていたし、GKの千綿えみりさんは常に味方へ指示を出していた。
加茂さんはフィルジル・ファン・ダイク、千綿さんはメアリー・アープスに憧れているという。彼女たちのように世界トッププレイヤーをお手本に力を磨く女子選手の参加が、地方大会にも増えてきた印象がある。

 ピッチには昨年初出場のRUMBLE(佐賀県唐津市)の姿もあった。今年も「楽しむこと」をモットーに複数のサッカーチームに所属する選手たちで即席チームを結成したそうで、今回は待望の初勝利を手にした。予選リーグ3試合目で4ゴールを決めた堀田陸人くんは「点をたくさん決められてよかった。得意なドリブルが通用すると分かってうれしかった」と笑顔で話してくれた。協会に加盟登録していないチームも参加できる門戸の広さは、『EXILE CUP』の魅力の一つと言える。

 決勝トーナメントには、前回大会の王者サイレコ・エスペランサ熊本(熊本県八代市)や準優勝のセラミーズFC(佐賀県有田町)、3位のサガントス・サッカースクール サックス(佐賀県鳥栖市)など実力チームが顔をそろえた。

 一発勝負のノックアウト方式では実力はもちろん、勢いに乗れるかどうかも勝敗を分けるポイントになる。1回戦でセラミーズFCと当たったラミーナフットサルクラブ(長崎県長崎市)は前半2分にネットを揺らすと、立て続けに2点を奪取。フットサルチームというだけあって、足裏で巧みにボールをコントロールしながらゴールに迫り、5-0で勝利を飾った。前回の準優勝チームを破り勢いに乗ったチームは、準々決勝で美和台ジュニアサッカークラブ セレソン(福岡県福岡市)に4-0、準決勝でサガントス・サッカースクール サックスに1-0で勝ち、初の決勝進出を決めた。


 トーナメント表の反対側の山では前回王者が準決勝で敗れる波乱があった。サイレコ・エスペランサ熊本は自慢の攻撃力を武器に、予選リーグで全チームトップの37得点を挙げ、決勝トーナメントではフットステップ(大分県大分市)、Azul 都城 FC(宮崎県都城市)をいずれも3-0で下し、危なげなく駒を進めてきた。そんな実力あるチームを破ったのは、2度のPK戦を勝ち抜いてきた折尾西サッカークラブ(福岡県北九州市)だ。武本竜一監督が「球際の強さと、攻守の切り替えの速さをテーマにやってきた」と話したとおり、体を張った守備で相手にチャンスを作らせることなく試合を進め、後半1分に先制。試合終了間際にも追加点を奪い、2-0で勝利を収めた。

 決勝戦では、開始わずか30秒で折尾西サッカークラブが先制する。10番の東慈衣那くんが「絶対に決める」と強い気持ちで右足を振り抜き、ゴール左隅に突き刺した。対するラミーナフットサルクラブも負けじとミドルシュートでゴールを狙うが、枠を捉えることができない。後半2分には再び東くんがドリブルでゴール前に切れ込み、追加点を奪う。このゴールで試合のペースをつかんだ折尾西サッカークラブがさらに3点を追加。5-0の圧勝で決勝大会への切符を手にした。


 武本監督は「大会を通じて気持ちが強くなったと思います。
これまでPK戦であまり勝てなかったんですけど、今日はベスト16と準々決勝のPK戦で勝つことができた。トラウマを払拭できたんじゃないかな」とチームの成長を喜んだ。折尾西サッカークラブはピッチ内だけでなく、ベンチやスタンドの応援席からも声が聞こえてくるチームだった。GKの山口立揮くんは「今日みたいに全員で戦って、優勝したい」と決勝大会への意気込みを語ってくれた。

 大会を最後まで見届けたEXILE NESMITHさんは「子どもたちが本気でサッカーに打ち込む姿に、涙腺がうるっと、心にグッときました。男女混合チームも多くて、女子が男子顔負けのプレーをしたり、アグレッシブに当たりにいったりする姿がカッコよかった」と振り返った。

 またEXILE TETSUYAさんは大会が13回目を迎えたことに触れ、「子どもたちの夢を応援したいという気持ちで活動してきました。継続は力なりと言うように、継続してきたからこそ、自治体やサッカー協会、地元の人たち、親御さんたちが協力してくれる。そういう広がりがすごくうれしいです」と語った。

取材・文=高尾 太恵子 写真=小野 弘明

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