ナショナル・ウィメンズ・サッカーリーグ(NWSL/アメリカ合衆国の女子プロサッカーリーグ)のエンジェル・シティは9月30日、ポートランド・ソーンズからなでしこジャパン(日本女子代表)MF杉田妃和が完全移籍加入することを発表した。

 クラブからの発表によると、杉田の加入はトレード移籍による取り引きの末に実現したという。
エンジェル・シティは杉田を獲得し、ポートランド・ソーンズはアメリカ女子代表DFメアリー・アリス・ヴィニョーラを獲得。加えて、エンジェル・シティはポートランド・ソーンズに対して、移籍金60万ドル(約8800万円)を支払ったことが明かされた。

 完全移籍加入に際し、杉田はエンジェル・シティを通して次のようにコメントを発表している。

「エンジェル・シティに加入する機会をいただき、大変感謝しています。このクラブからは溢れるほどのエネルギーと情熱を感じており、このコミュニティの一員となれることを嬉しく思います。このチームでプレーできることに素直にワクワクしていますし、BMOスタジアムでファンの皆様にお会いできるのを楽しみにしています」

 エンジェル・シティのスポーティングディレクターを務めるマーク・パーソンズ氏は、「ヒナは世界でも有数のミッドフィルダーであり、この極めて競争力の高いリーグでも常にトップクラスの実力を示してきました。彼女は高い戦術理解度を備えたダイナミックな選手であり、貢献はピッチ内にとどまらず、ピッチ外でも貴重な経験をもたらすと確信しています。優勝経験を持つ選手をエンジェル・シティに迎え入れられることを誇りに思います」とコメントを発表。同様に、アレックス・ストラウス監督は、次のような言葉で新戦力の杉田に期待を寄せた。

「ヒナは我々が長年獲得を望んでいた選手の一人です。彼女は中盤の選手に求められるスキルセットを備えており、我々の目指す方向性に完璧に適合すると確信しています。。
2022年から強豪チームでこのリーグを戦い、決定的な役割を果たしてきたことがその証明です。ヒナが我々の環境に加わることを楽しみにしています」

 現在28歳の杉田は、女子サッカー強豪校として知られる藤枝順心高校を経て、2015年にINAC神戸レオネッサへ入団。2年目の2016シーズンには、なでしこリーグ1部で新人賞にも輝くなど、中心選手として活躍を続けた。2022年に渡米し、ポートランド・ソーンズへ加入すると、1年目から主力に定着し、ポートランド・ソーンズにとって5年ぶりとなる、NWSLプレーオフの優勝に貢献。ポートランド・ソーンズに在籍した3年間では、NWSL通算で81試合のピッチに立ち、13ゴール14アシストを記録した。

 また、各年代別の代表チームでも活躍しており、2014年のFIFA U-17女子ワールドカップ、2016年のFIFA U-20女子ワールドカップでは、ともに最優秀選手賞を受賞。2018年8月になでしこジャパンデビューを飾ると、FIFA女子ワールドカップには2大会連続で出場しており、東京オリンピック2020にも出場。これまでに51キャップ刻んでおり、3ゴールを挙げている。

 なお、現在のエンジェル・シティにはMF遠藤純、GKスタンボー華、DF守屋都弥となでしこジャパンの選手が3名在籍。杉田は4人目の日本人選手として迎え入れられる。2025シーズンのNWSLで22試合を消化したエンジェル・シティは、勝ち点「24」を積み上げ、現在の順位は11位となっている。


【画像】杉田がエンジェル・シティのユニフォームに袖を通す



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