序盤から主導権を握ったのはC大阪ヤンマーだった。浅山茉緩と田子夏海、今シーズン初の組み合わせとなった2トップが前で起点を作り、攻撃の勢いを加速させていくと13分に幸先良く先制点を奪う。右サイドバック、中西ふうの鋭いクロスに逆サイドの百濃実結香が飛び込み、右足でネットを揺らした。
その後は互いに攻め合い、ポストやクロスバー直撃のシーンを作り出す。C大阪ヤンマーのリードで迎えた後半は、修正を図った大宮が主導権を奪い返し、次々とチャンスを作り出す。76分には途中出場の田中聖愛のクロスを齊藤夕眞が頭で合わせて同点に。残り15分、互いに勝ち越しゴールを目指す中で、再びC大阪ヤンマーの百濃が魅せる。85分、ゴール前に人数をかけた中で、脇阪麗奈のトラップが少し乱れたところに走り込んで右足を一閃。見事、ゴールに突き刺し、そのまま2-1でC大阪ヤンマーが競り勝った。
C大阪ヤンマーの松田岳夫監督は、「ファン・サポーターの皆さんを含め、全員でつかみ取った勝利」と喜びを露わにし、続けて「この1週間、『リミッターを外せ』と意識づけしてきた。球際に強くいくこと、ボールホルダーを追い越すハードワーク、そういう部分を出し切れれば、チームとして力を出せる。今日はサイドの選手が中に行ったり、中の選手が外に行ったりと選手が流れの中で動けていた。
WEリーグで1試合2得点は自身初。個人の結果でも“リミッターを外して”チームを勝利に導いた百濃は、「本当にホッとしました」と安堵しつつ、「実は今日、家を出るとき、家族に『2点を決めてくるわ』と言っていた」と有言実行のゴールだったことを明かした。決勝点となった2点目については、「無我夢中だった。セカンドボールへの準備はしていたけど、とにかく相手より先に触ることを考えてシュートしたら、いいところに飛んでくれた」と笑顔を見せた。
昨シーズン、日テレ・東京ヴェルディベレーザをWEリーグ初優勝に導いた名将・松田監督のもと、WEリーグ参入3年目の進化を目指して奮闘するC大阪ヤンマー。百濃は「松田監督からは『もっとボールを受けたがれ』と言われいる。その分、相手を見ながら自分がどこに動いてもいい。味方が空けたスペースを、他の選手がうまく使っていく。そういった部分の精度をもっと高めていければ」と話し、より考えて動くサッカーへとチャレンジしている。
今後に向けては、「ゴール前に絡んでいく回数をもっと増やして、アシストもゴールもどんどん決めていきたい」と意気込む百濃。5連敗という“生みの苦しみ”を経てつかんだ大きな一勝を機に、ここからの巻き返しを誓った。