本番を想定した9月のアメリカ遠征は、メキシコ代表戦(0-0/△)アメリカ代表戦(0-2/●)と2試合連続ノーゴール。日本代表を率いる森保一監督は、パラグアイ代表戦に向けた9日の公式会見で「アタッキングサードまでは行けている中、シュートまで打ち切れないことがあった。
シュートにつなげる部分、決め切る部分にこだわるということは、特に名波(浩)コーチ主導で選手に伝えてくれている。トレーニングでも働きかけているので得点にこだわっていきたい」と語っていた。

 日本の1点ビハインドで迎えた26分、最前線でスタメン起用された小川航基の脳裏にふと名波コーチの言葉がよぎる。「(今月の)代表活動が始まって5日目ですけど、名波さんから『振れるタイミングで振るように』と毎日言われ続けていて、あの瞬間の頭によぎりました。すぐに振るという判断ができたことが大きかった」。

 日本はパラグアイ陣内での即時奪回から、佐野海舟のパスを受けた小川が右足を一閃。GKロベルト・フェルナンデスに弾かれたが、勢い勝ってゴールネットに吸い込まれた。「インパクトのあるシュートはいつも心掛けています。自分の得意なシュートパターンでした」と小川。「自然にパッと自分がシュートを打てる位置にボールをトラップできたことが大きかった。ガチャガチャとなってスパッと縦パスが入った時は、ディフェンスも前に来づらいと思うので、その中で振る判断ができたことは良かった」と得点シーンを回想した。

 9月のアメリカ遠征では、初戦のメキシコ戦で出番なし。
アメリカ戦で先発に抜擢されたものの、得点も奪うことはできず、日本も零封負けを喫した。「アメリカ戦はものすごく悔しかったです。選手を代えて(※メキシコ戦からスタメン11人を変更)挑んだ戦いで負けてしまったこと。チームとして結果が残せなかったことは、ものすごく悔しかった」と改めて振り返る。その中で巡ってきたスタメンのチャンス、並々ならぬ決意で臨んだ。「パラグアイ戦でまたチャンスをもらえたので、今回にかける思いは人一倍強いものがありました。複数得点したかったですけど、得点を取れたことは良い自信になると思います」。9月のアメリカ遠征時に口にしていた「“得点が欲しいときには小川”という印象を残したい」という言葉通り、大きな爪痕を残す一撃となった。

取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)
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