現在33歳のウィルシャー氏は、現役時代にアーセナルを中心に活躍。2008年9月、当時クラブ史上最年少だった16歳と256日でプレミアリーグデビュー(※現在はイーサン・ヌワネリが同記録を塗り替え)を飾り、2012-13シーズンからはクラブの背番号「10」を託された。イングランド代表としても、18歳でデビューを飾り、FIFAワールドカップブラジル2014やEURO2016に出場。アーセナルでは公式戦通算197試合出場14ゴール27アシストという成績を残し、2018年夏に退団すると、以降はウェストハム、ボーンマス、そしてデンマーク・スーペルリーガ(1部)のオーフスを渡り歩き、2022年7月に30歳の若さで現役引退を発表していた。
オーフス加入前の2021年夏以降はアーセナルの練習に参加し、選手としてのコンディション維持を目的としつつも、ミケル・アルテタ監督の下で指導者としての経験を積んだ。現役引退後からは本格的に指導者キャリアをスタートさせ、2022年夏よりアーセナルのU-18チームで監督を務めると、現在はアーセナルのトップチームで活躍するイングランド代表DFマイルズ・ルイス・スケリーやU-21同代表MFイーサン・ヌワネリ、さらには今季に入ってトップチームデビューを飾ったU-19同代表MFマックス・ダウマンらを指導した。
昨年10月にはシーズン中にアシスタントコーチを引き抜かれたノリッジが、アシスタントコーチとしてウィルシャー氏を招へいした。昨季の終盤には当時のヨハネス・トルップ監督解任に伴い、暫定監督として2試合を指揮。1勝1分とノリッジに最低限の勝ち点をもたらし、昨季のチャンピオンシップを13位で終えると、シーズン終了後にノリッジを離れていた。
ウィルシャー氏が新たに率いるルートン・タウンは、昨季まで日本代表DF橋岡大樹(現:スラヴィア・プラハ)が所属していたことでも知られる。2023-24シーズンにはプレミアリーグを戦っていたものの、昨季はチャンピオンシップを22位で終え、2年連続降格の憂き目を見ていた。
今シーズン、ルートン・タウンは昨季途中より指揮を執ったマット・ブルームフィールド監督体制でスタートしたものの、リーグ1第11節終了時点で5勝1分5敗と成績が安定せず、現在の順位は11位に沈んでいる。
ちなみに、ウィルシャー氏は2001年10月にアーセナルのアカデミーに加入する前、短期間ではあるものの、ルートン・タウンのアカデミーに所属していたことがある。そんな“古巣”に監督として戻ってくることが決まったウィルシャー氏は、クラブを通して次のようにコメントを発表した。
「ルートン・タウンの新監督に任命されたことは、僕にとってこの上ない名誉と特権だ。すべてが一周したような気持ちになっている。初めてルートンを訪れたのは少年だった8歳の頃だった。そして、今回僕にとっては初めて、トップチームの監督を務める。そんな第一歩をこのクラブで踏み出せるのは、運命めいたものを感じざるを得ない。ここに来られて本当に嬉しいし、監督としての仕事を始めるのが待ちきれない」
「このクラブの物語は僕にインスピレーションを与えてくれる。なぜなら、信念、団結、そして努力の上に築かれたクラブだからだ。このクラブは近年、ピッチ内外で素晴らしい個性を発揮してきた。今回、このグループを未来へ導く責任を担うリーダーとなれたことを光栄に思う」
「今シーズンは多くの試合が残っている。
現役時代にはキャリアを通してケガに悩まされたウィルシャー氏。かつて将来を嘱望された“ガラスの天才”は、今度は新進気鋭の若き指導者として、新たなステージへ進む。
【ハイライト動画】ルートンはスティヴネイジに敗れた後、監督交代を決断