レアル・マドリードに所属するMFアルダ・ギュレルが、FWキリアン・エンバペについて語った。

 かつて、「僕のゴール前での動きを最も理解していた」とクリスティアーノ・ロナウドは、メスト・エジルについて口にした。
当時のレアル・マドリードにおいて、このホットラインがどれだけ完成されたものであったかは、エジルの退団時に、C・ロナウドを筆頭に主力選手が、放出を容認したクラブに対して怒りを露わにしたことが、すべてを物語っているだろう。あれから10年以上の歳月が流れた。そして今、“白い巨人”にはかつての2人を彷彿とさせるコンビが出来つつある。キリアン・エンバペとアルダ・ギュレルだ。実際、今シーズンの公式戦でここまで4アシストを記録している後者は、そのすべてが前者のゴールによってついたものとなっている。

 レアル・マドリードでの3年目のシーズンが始まったギュレル。フランス紙『レキップ』のインタビューに応じた20歳は、「自分がいるのは、世界最大のクラブだということは分かっていたよ。でも、初日の練習から、ここでプレーする資質を持っていることを確信していた。成功できる、と疑う必要は一度もなかった」としつつ、「最初の1年は難しいだろうと、トルコしか知らない若者にとっては当然のことだ、と皆に言われた。それに、キミの時代は、(ルカ・)モドリッチと(トニ・)クロースの後に来るともね。すべてが明確で、そのほうが良かった」とケガにも悩まされ、トップレベルの選手たちの控えに回った1年目を振り返った。

 そんなギュレルは、モドリッチとクロースが去ったレアル・マドリードにおいて、今シーズンはここまで公式戦3得点4アシストと新たな司令塔として本格的に台頭している。
近頃は、4つのゴールを演出したエンバペとの相性の良さにも注目が集まっており、前述したように、C・ロナウドとエジルのコンビと比較もされているが、「比較されるのは嬉しいね。彼らは偉大なことを成し遂げたのだから、光栄だよ。ただ、大きな勝利は常にチーム全体で達成されるもので、2人の選手だけによるものではない」と告白。続けて「彼のクオリティと、僕自身のクオリティは補完し合っている。お互いによく理解できているから、すべてがスムーズに進むんだ。ときには試合前に少し話をすることもある。『今日はこれをやろうか、あれをやろうか』ってね。ときには、目配せだけで十分だったりもする」と明かした。

 さらに、“相棒”についてギュレルは、「彼の望む場所でプレーさせるべきだと思う。あの才能は、その自由を享受するだけの権利がある。中盤に下がっているときは、ただ下がっているわけではない。試合に必要なことを理解した上での行動だ。
だからそのときは、彼が空けたスペースを僕が使えばいい」と絶賛するとともに、さらなる連携面での強化に意欲を燃やしている。

 10年以上のときを超え、レアル・マドリードに“怪物”と“魔法使い”の記憶が蘇った。C・ロナウドとエジルから、エンバペとギュレルへ。新時代を象徴するホットラインが、完成されつつある。
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