「広島に来て4年間、お城の裏あたりに住ませていただきましたが、その近くに素晴らしいイタリアンレストランがあります。1、2年目はそこに通い過ぎたが故に太ってしまいました」とジョークを続け、「審判の方は時々、自分と違う意見を持っているシーンがありました。難しかったと思います。申し訳ありません。ただ、大体の場合で自分の方が合っていたと思います」と楽しそうに話してスタジアムを沸かせた。
そして、「サンフレッチェ広島というクラブに対して非常に大きな感謝をしています」と思いを口にし、久保允誉会長をはじめとするクラブ関係者、チームスタッフ、DF塩谷司やDF佐々木翔を筆頭とした選手たち、そしてサポーターなどへの感謝をそれぞれ口にして、こう話した。
「このチームとサッカーをするのがすごく楽しかったですし、このファンと一緒にスタジアムでサッカーをするのもすごく楽しかったです。そういった素晴らしい人たちに囲まれて、サッカーができたことを本当に幸せに思っています」
スキッベ監督が大切にしている「楽しむ」ということ。12月12日の退任会見では、「好きなことを好きにする。それが人生を楽しむ方法だと思います」と説いた。
「トレーニングでもトレーニングを作る上でも、どれだけ前向きに楽しさを追求できるかが非常に重要だと思います。サッカーの場合だと選手と一緒に楽しむことも大事ですし、プライベートだと親子としてお互いに楽しみ合うことが大事だと思います。お互いに心地よい時間を持てることが一番楽しめる状況だと思います。なので、好きなことを好きなようにやる。そして、好きなことを好きなように一緒に楽しむ。そういったことがすごく重要だと思います。
選手を送り出す時も自信を持っていいサッカーをやろうといつも伝えています。そこまでトレーニングしてきたのも試合のためで、自分たちがどれだけできるか、どこまでやってきたかを証明する場所がフィールドだと伝えています。点が取れない時はその話をよく聞いてないのか、もしくはあんまり楽しめてないのか、どっちかなのかなと思っています(笑)」
選手たちにもその教えは響いた。DF荒木隼人は、「ポジティブにサッカーすることの重要性を教わって、楽しくサッカーさせてもらいました。後ろ向きのミスは良くないけど、ポジティブなミスは大丈夫だと言ってくれたおかげで、みんなが生き生きとのびのびとしたプレーができた4年間だったと思います」と振り返っていた。
12月10日、AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)リーグステージ第6節の上海申花戦。
「チームがシーズンの最後まで一丸となって戦う姿勢を示してくれて、ここ4年間本当にどの試合でも全力で戦ってくれたことに大きな感謝をしています」
スキッベ監督が広島の指揮官に就任したのは2022シーズン。当時は新型コロナウイルスの影響で来日が遅れて、直接指揮ができたのは同6日の第3節・ヴィッセル神戸戦からだった。
「チームに合流したのは神戸戦の直前で、その時に初めて選手の顔を見ました。そこからは本当に非常に楽しく、コーチ陣も選手たちも含めて、すごくやりやすい環境で働かせてもらいました。日本人選手は本当に学ぶ姿勢が強くて、全て吸収しようという意識が高い選手たちだらけでした。そういう選手たちとやっていくのは本当に楽しくて、いい仕事ができたと思っています」
初挑戦の日本で4シーズンを戦い、公式戦205試合で115勝39分51敗を記録した。2022シーズンはJ1を3位で終え、JリーグYBCルヴァンカップ優勝と天皇杯準優勝を成し遂げた。2023シーズンもJ1を3位で終え、2024シーズンは優勝を目前で逃して悔しい2位。
「毎試合拮抗したいい試合だったので、本当にいいシーンがたくさんあったと思います」というスキッベ監督だが、その中でも記憶に最も残っているのはルヴァンカップ初制覇のとき。「天皇杯でまずヴァンフォーレ甲府に敗れて、それから1週間で立て直してルヴァンカップに臨み、アディショナルタイムで2点取って優勝したことは、一番印象に残っています」と怒涛の1週間を振り返った。
Jリーグも常に高く評価してきた。スキッベ監督は、「どのチームも平等にいいレベルにあると思っています。どこのチームと対戦するときも本当に集中していいサッカーをしないことには勝てないようなリーグでした。本当に上から下まで拮抗したレベルのリーグで、それはJリーグの素晴らしさだと思います」と変わらぬ評価を口にし、ファン・サポーターの雰囲気にも感心していた。
「得点を競うスポーツなので戦いの面はもちろんあって重要だとは思いますが、日本のスタジアムではお互いがすごくフェアだと感じていました。特に警備員がいるわけでもなく、ホームのファンもアウェイのファンもお互いのいいプレーをしっかり認める部分がありますし、勝負以外の部分では争わない日本人の姿勢には本当に感銘を受けました」
広島で充実の日々を過ごしてきたが、4シーズンで区切りを迎えた。心残りを聞かれたスキッベ監督は、「ネガティブなものはまず何もないです」と断言し、「夏が暑いぐらいです」と冗談を言う。退任についても「最終的な決断はクラブがしたと思っています」と切り出し、指揮官の視点を丁寧に説明した。
「まず、宮崎でキャンプをした時に久保会長と食事をしました。
広島に強度の高いアグレッシブなサッカーと楽しむ姿勢を植え付けたスキッベ監督は、「4年前に自分を受け入れてくれたように、新しい監督も早く受け入れてほしいと思います」と未来にも期待を寄せる。
「残っている選手たちのことですから、新しい監督の意見やサッカーの戦術をしっかり吸収して、すぐに対応してやってくれると思います。現時点で非常に強いチームにでき上がっています。Jリーグでは1位になれなかったですが、上位にずっといられるような実力を持ったチームです。
常に紫の声援で圧倒的な雰囲気を作ってきたサポーターに対しても、「ホームだけではなくて、アウェイの試合もたくさんの人がスタジアムを埋めてくれました。サンフレッチェ広島は紫のユニフォームだと思いますが、その色を象徴するような力強さを十分に背中に感じることができました」と熱い応援に感謝した。
オフが多かったスキッベ監督体制。指揮官は休日の楽しみ方について、「時間があった時によくやっていたのが、白島から宇品(約7キロ)まで歩くこと。帰りはつらいので電車に乗って帰るんですけど(笑)。それは休みの日の1つの習慣でした」と明かした。
サッカーや街や人とつながりを楽しんだ日々。「本当にインテンシブで素晴らしい4年間でした」というスキッベ監督は思い出を胸に刻んで笑顔で広島を去った。
「スタッフたち、コーチ陣の仲間たち、選手たちも含めて素晴らしいクラブ、そして素晴らしい街、素晴らしいファンに囲まれて、本当に充実して非常に実りのあった4年間でした。ここでした経験はこれからも私の中に残り続けますし、これからもサンフレッチェや広島のことが常に気にかかると思います」
取材・文=湊昂大
【動画】スキッベ監督 退任会見

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