公式戦5連勝で迎えた約1カ月半ぶりのホームゲーム。
前半はMF中嶋淑乃のいる左サイドを中心にチャンスを作ったが、得点には結びつかなかった。左センターバックでフル出場したDF市瀬千里は、「前半多くチャンスがあった中で決め切れないと、後半は苦しい試合になると思います」と話し、自身もCKではシュートを決められず、「セットプレーのところで自分が決定機を外してチームを助けられるような点を決められなかったので、ああいうところで甘さが出たかなと思います」と振り返った。
試合が動いたのは後半の62分、相模原のFW笹井一愛にペナルティエリア内へ突破されてクロスを入れられると、ボールは市瀬の目前を通過し、ファーポストのFW大竹麻友に押し込まれて先制点を許した。市瀬は、「マイボールのスローインからの失点だったので、すごく形も悪かったですし、自分があと1歩ゴールの方に寄れていればとか、いろんな後悔はあります」と悔しさを滲ませた。
失点後は広島が攻め急ぐ一方で、N相模原に追加点を許す。74分に笹井にミドルシュートを沈められると、80分にも途中出場のFW片山由菜に似たような位置から決められて3失点。市瀬は、「失点してから跳ね返す雰囲気に持っていけなかったのはプロとしてもすごく情けないですし、メンタルをもっと強く持ってやっていきたいです」と力を込めた。
試合終盤には副キャプテンのMF小川愛やMF柳瀬楓菜が交代でピッチを後にしたため、残った副キャプテンの市瀬が初めてキャプテンマークを巻いてプレーした。3点ビハインドの難しい状況でアームバンドを託されたが、「キャプテンマークを巻いたからには、自分が点を取って勢いづけるとか、今まで以上に声を出すとかいろんなことを考えましたけど、勝つことに必死になりすぎてあんまり覚えてないです」と振り返った。
広島は最後まで反撃が実らず、ホームで完封負け。初制覇を目指す皇后杯の決勝を前に手痛い敗戦を喫した。
1月1日に国立競技場で激突する決勝の相手は、2年ぶり8回目の優勝を目指す強豪のINAC神戸レオネッサ。広島としては今季の公式戦で2戦2勝と相性は悪くないが、市瀬は、「INACに対して今シーズン負けていないけど、逆にあれだけタレントがそろったチームなので『やってやる』という気持ちで来ると思うので、自分たちはそれを受けて立つんじゃなくて、自分たちの方が気持ちが強いことをプレーで見せたいです」と気を引き締めた。
取材・文=湊昂大
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