第104回全国高校サッカー選手権大会2回戦が各地で行われ、Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuでは岡山学芸館(岡山)と日大藤沢(神奈川)が対戦。有川啓介(3年)の2得点で日大藤沢が2-0で勝利し、3回戦に進出した。


 今大会の初戦となった両者。日大藤沢は2年生MF中村龍剛がダブルボランチの一角で出場。69分までプレーした。「3年生も2年生もたぶん全国大会は初めてなので、多少は硬い入りになると思っていたんですが、意外とみんなしっかりコミュニケーションしてパスをつなげて。ゴールを取りきれない時間帯が続いたので、そこはちょっと難しかったですが、しっかりと決めてくれたので、いい試合だったと思います」と振り返った。

 自身は元日本代表MF中村憲剛さんの息子ということでも注目をされている中での選手権。さらに川崎フロンターレの本拠地である等々力で、しかも父がスタンドから見守る初戦となったが、「入場する前から観客の人数もすごく多くて、すごく思い出になる試合になりましたし、最高の舞台でやらせてくれてありがたいなと思います」と感慨深げ。選手権は「小さい頃から夢に見ていた舞台」と表現しつつ、「今日、ピッチに立って日本一を取らないといけない大会に変わった」と狙うはあくまでも頂点だ。

 予選から背番号を変更し、父も川崎Fで背負った『14』にして臨む大会となったが、「(背番号は)スタッフの方から14番を付けてみないかと相談されたので、『ぜひ、着けさせてほしい』と伝えました。ただ、自分からは言ってないので(笑)。(プレッシャーは)そんなになかったです」と、笑顔も交えて経緯に触れ、「自分も好きな番号で等々力でプレーできることはすごく幸せなことだと思いましたし、もっと14番として成長したいと思っています」と力強く語る。「(父親からは)自分らしくやってくれればそれでいいというのと、あとは多分どこかで14番をつける、エモいなとか、そういうのは言っていました」と父からの言葉を明かしつつ、「自分はお父さんではないので、自分の道を進んで、結果的にお父さんの上に行ければとは思います」と、中村龍剛としての活躍を誓っている。


 日大藤沢の佐藤輝勝監督は中村について、「自分がやったプレーを、次にどうしたらさらに良くなるかに矢印向けられる選手」と評し、「県予選も準決勝、決勝しか出していないですけど、それまでの間、出れない時の考え、立ち振る舞いしてきて、本当に成長してきて、2試合が冗談なしで掛け算で成長した」と、成長スピードに目を見張る。プレーについても、「ゲームを読めるようになってきて。ただ、シュートがへなちょこなんでね」とこの試合については笑いながらコメントしつつ、「チームのことを理解した上で、自分がどうかをちゃんと考えて、俯瞰して見ている部分も多い。何度も映像を見ていると思うんです。3年生の方がしっかり準備をして、2年生は自分のことでいっぱいいっぱいになってしまうのは当たり前なんですけど、中村はそういうところにも気を使って出てくる。いろいろなことが見えているのは、彼が磨いた部分かなと思います」と振る舞いや姿勢についても称えた。

 もちろん、「日藤の基準があって、ボランチとしての基準も示しているので、『中村が』ではなく、誰でもいいのがうちの基準」(佐藤監督)と、学年に関係なく常にメンバー争いがある中での起用。中村自身も「監督がいつも『調子のいい者を使う』と言ってくれているので、そういう競争に自分の得意である野心とか強気な姿勢を毎回見せていることで、自分の今の存在があるのかなと思います」と向上心と改善への姿勢を持って、日大藤沢の中心選手となって日本一を目指していく。

取材・文=小松春生


【画像】中村憲剛、息子への応援に感謝



編集部おすすめ