2025年夏、シント・トロイデンで2年間プレーした藤田譲瑠チマはブンデスリーガのザンクトパウリへと移籍した。

 加入当初から主力として起用され続けている藤田は、カップ戦も含めた2025年の公式戦18試合で全試合に先発。
しかも途中交代したのは80分過ぎにベンチへ下がった2試合のみで、カップ戦で2度の延長を経験しているものの、どちらも120分フル出場をしている。

 まだ得点こそないものの、4アシストをマークしている藤田に加入してからここまでのプレーや、ブンデスリーガですごいと感じた選手、ザンクトパウリが居を構えるハンブルクの街、そしてシーズン後に控えるFIFAワールドカップ26の位置づけを、ウインターブレイクでの帰国時に聞いた。

インタビュー=小松春生
取材協力=アディダス

―――今シーズン、ザンクトパウリに加入し、カップ戦も含めてほぼフル出場を果たしています。

藤田 この半年間で信頼を得られた自信はかなりあります。チームとしては難しい時期(ブンデスリーガ16位)ですけど、少しずつ良くなっている感じはしていて。自分もポジションの変更などもあり、正直まだそれを掴み切れてない自分はいるんですけど、自分の良さも少しずつチームに還元できていると思います。

―――加入後はダブルボランチの一角が多かったですが、最近は3-5-2のインサイドハーフや、直近のマインツ戦では佐野海舟選手とマッチアップする形でトップ下に入りました。

藤田 自分自身、緊急でやることはありましたが、シーズン通してそういった攻撃的なポジションをやったことがないので難しい部分はあります。体の使い方とかも変わってくるので、正直今は手探りの状態ですけど、楽しくやれていますね。

―――攻撃的なポジションでもフル出場が続いているのは監督やチームメイトの信頼の表れでもありますね。

藤田 その通りだと思いますし、その気持ちに応えられるように、いいプレーをどんどん増やしていきたいと思います。

―――現在は攻撃のタスクが多い部分もありますが、守備局面はドイツに移籍してどう感じますか?

藤田 まず上手な選手が多いです。
センターバックでも持ち運べる選手や、鋭い縦パスを刺せる選手がブンデスにはすごく多い印象があって。そこはベルギーの時に比べて難しいと感じる部分ですけど、そのレベルの高さが自分にはちょうど良く感じられていて、楽しくできています。しっかりと成長のステップを踏めていると思っています。

―――ここまでで対戦した相手で「ヤバいな」と感じた選手はいますか?

藤田 まずドルトムントの(マルセル)ザビッツァー、レヴァークーゼンのボランチ(アレイクス・ガルシア)と左サイドの選手(アレハンドロ・グリマルド)ですね。あとはバイエルンのルイス・ディアス。この選手はルール違反だった気がするんですよね(笑)。他のバイエルンの選手たちは、ずっとボールを持っているので、ミスしないなという感じだったんですけど、僕たちと対戦した試合に関しては彼だけレベルが違った気がします。自分はマッチアップするポジションではなかったですけど、「抜かれるな」みたいな感覚があって。実際に1対1にさせたら絶対抜かれるし、助けようと自分が走ったらパスを出されて逆に展開されて、みたいな。彼のせいでこっちのバランスが崩されるみたいな印象はありました。決勝点を取られたし、1点目もアシストされましたし。仕事量すごいなって思いました。


―――街のこともうかがいます。ハンブルクのザンクトパウリ地区にあるクラブです。ハンブルクという街の空気感は特殊と言いますか…

藤田 いや、特殊です(笑)。

―――雰囲気や文化はいかがですか?

藤田 いやー、面白いですね。ファンも熱いですし。初めてホームで試合した時、入場で鳥肌が立ったんですよ。ゾワゾワしてくる感じがして。すごくいいチームに来たなと思ったし、アウェーでも満席で。ファンは本当に熱いし、街も面白いところですね。

―――第2節ではアウェーでのハンブルガーSVとのハンブルクダービーでした。勝利しましたし、藤田選手もアシストを記録しました。

藤田 とにかくすごかったです。
スタジアムの雰囲気もすごいし、帰るときには道で発煙筒を焚きまくっていて(笑)。とにかくバカ騒ぎ状態で。雰囲気はすごかったです。街の中で戦いが起きていると言っていい雰囲気でしたね。

―――これまでに感じたことのなかった雰囲気、経験だと思いますが、そういうことを感じられることも選手の喜びとしてありますか?

藤田 はい。サッカーをやっていて良かったと、すごく感じました。

―――街の面白さはどういったあたりに?

藤田 歩いているだけでも楽しいですよ。今だったらクリスマスマーケットをやっていたりしますし。あとは歓楽街というか、そういう雰囲気も楽しいですね。

―――ワールドカップイヤーになるので、少し日本代表のお話も。前回のカタール大会はEAFF E-1サッカー選手権で結果を残した中で選出の可能性もありましたが、当時は「まだそのステージに立てていない」と話していました。現在、日本代表に定期的に招集されていますが、それでも「まだまだつかめていない」と話されています。
今、日本代表をどうとらえていますか?

藤田 試合自体にはなかなか出られてはいないですけど、呼んでいただいていることはすごく感謝しないといけないと思いますし、段々と練習の中、試合の中でも自分を出せている感じはあります。「これを継続していきたい」というほどの時間はないですけど、自分らしく頑張りたいです。

―――多種多様なタイプの選手が中盤にはそろっています。その中で自分の色をどう出せるかも大切になります。

藤田 短い時間で特長を出せるタイプではないですけど、でもそういうことを言っていられないので。11月のガーナ戦は自分の中で印象は良かったんですけど、ああいうプレー、ボールにどんどん絡んでいくところはどんどん出していきたいですね。

―――現時点でワールドカップはどう捉えていますか?

藤田 そこに向けて頑張りたいですけど、まずやるべきことがあるので。その先に、という感じですね。まずは、ザンクトパウリが何としても1部に残留することでシーズンを終えられたらハッピーだと思っています。

―――最後に、藤田選手と言えばインスタグラムで「#あちーよ」とつけて投稿しています。今、一番「あちーよ」なことは何でしょう?

藤田 ファンですね。ファン「あちー」っす(笑)。
一度、ぜひ現地に見に来てほしいですけど、ザンクトパウリのスタジアムって特殊で。両ゴール裏とバックスタンドの1階席が立見席なんです。コの字型で立見だから、ゴール裏だけでなく、ピッチの横にいる人たちもめっちゃ声を出して応援するんです。どこからでも声援もブーイングも聞こえて。本当にすごいんです。3万人しかはいらないですけど、当たり前に毎回満員ですし、もし大差で負けていたとしても途中で帰ったりしない。最後までガラガラになることはないですし、「みんなサッカー好きだな」「このチームをすごく大事にしているんだな」ということを感じるので、すごく楽しいです。

―――1月にはホームでのハンブルクダービーがあります。

藤田 本当にすごいらしくて。いろいろなものを投げたりしているって聞いて。(田中)碧くんがダービーマッチで馬の糞を投げ合うとか言うから「絶対嘘やん」と思っていますけど、でも結構ガチそうなので、楽しみにしています(笑)。


【動画】藤田譲瑠チマが今最も「あちーよ」なこととは?

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