第104回全国高校サッカー選手権大会の準決勝が10日に行われ、鹿島学園(茨城)が流通経済大学柏(千葉)に1-0で勝利し、同校初の決勝進出を決めた。

 完封勝利を果たした鹿島学園の2年生GKプムラピー・スリブンヤコは試合後、「(鈴木雅人)監督は試合前にキーパーのことはあまり言わないですけど、今日は『頑張ってくれ』『0で終わりたい』と。
自分も監督の言葉を意識して死ぬ気でやっていました。相手もJリーグ内定選手もいるから楽しみというか。監督も『今日、シュート来るで』と言っていましたけど、楽しかったです。無失点で終われて良かったと思います」と振り返った。

 ムアントン・ユナイテッドの下部組織出身で、U-17タイ代表でもあるスリブンヤコ。U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジでタイ代表として来日した際に、日本サッカーのレベルの高さを感じ、Jリーグ行きを志して鹿島学園の門を叩いた。「自分は小学校から中学校でサブだったから(試合に)全然出られない。チャンスがないと思って、サッカーの新しい人生をつくりたいから日本に来ました」と来日当時を回想する。

「自分はあまり勉強できないので」と笑うスリブンヤコ。入学当初は言葉の壁もあって大変だったと言うが、チームメイトや友達と翻訳ソフトを使いながら、「みんなと仲良くして、毎日仲間と話して」積極的にコミュニケーションを取ったことで、取材でメディアに囲まれても対応できるくらい、まったく問題のない日本語ができるほどに上達した。最初に教えてもらった日本語は「ちょっと言ったらダメですね。悪い言葉(笑)」と明るく笑いつつ、「好きな言葉は『勝利』。
日本の文化も好きです。みんなでグラウンドでの挨拶とか。めっちゃ好きです」と部活動の中での学びも得られている。

 東京オリンピックをタイのテレビで見て、憧れの舞台になったという国立競技場での試合は「すごかったです。最高です」と喜んだスリブンヤコ。日本とタイを往復している母、日本に今朝到着したという父と姉と家族も見守る前での試合となったが、「(試合後)親に会って、めっちゃ泣いていて。自分も我慢ができなくてめっちゃ泣きました。苦しい時間も家族といて、一緒に頑張って。ここまで来たら我慢できないですね」とこみ上げるものがあったと振り返った。

 この日の試合はタイでもライブ配信された。試合後にはU-17タイ代表のコーチからも連絡があったという。「中継もありましたし、タイ人のためにも全力でやりました。
自分だけでなく、タイ人のためにも代表してやっていると思っています」と、高校生ながら、自国も代表する自覚も強く持つ。

 3年生とともに試合ができるのは、泣いても笑ってもあと1試合。「このチーム、最高だと思います」と話し、「無失点で終わりたい。死ぬ気で鹿島のために優勝、勝利を取りたいと思います」と、好きな日本語“勝利”を先輩とともに掴むため、12日の決勝戦へと向かう。

取材・文=小松春生
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