U-23アジア杯を終えて1月30日にチームに合流したばかりの小倉は『3-4-3』布陣の左ボランチで開幕スタメンに抜擢され、勝敗が決着する最後の瞬間までピッチに立ち続けた。岡山は前半終了間際に先制したものの、後半に同点ゴールを献上し、PKの末に敗れて勝ち点1の獲得にとどまった。その中で小倉は中盤の底から安定感あるプレーで攻守を繋ぎ、“チームの心臓”とも言える働きを遂行。それでも、試合後のミックスゾーンでは厳しい表情を浮かべていた。
「デビュー戦は一生に一度しかないので勝ちたかったですけど、PK戦を通じて負けてしまったのは次への課題になると思うし、次につなげていかないといけない」
開口一番に出てきた言葉は、スタートラインに立った安堵や活躍への手応えではなく勝利できなかった悔しさだった。大学2年生で初めて経験したJ1の舞台は「やっぱり甘いところではないということを今日の試合で改めて感じた」ようだ。
前半13分にはフィールドプレーヤーの最後尾に位置していたが、ピッチ中央で巧みな身のこなしから相手のプレスをひらりとかわし、“失ったら即大ピンチ”という状況でも堂々たる技術と冷静さを発揮。前半36分には相手陣内でパスカットすると、迷うことなく即座に40メートル級のロングシュートを狙った。さらにセットプレーの守備時は手を叩いてチームを鼓舞。一挙手一投足に、遠慮の二文字はなかった。
「チームとして引き締めなきゃいけない部分では、先輩や後輩は関係ないと思う。声を出せる人間が常に出すことが大事だと思っているので、自分も常に積極的にやっています」
そして、前半44分には左CKから急激に曲がって落ちるボールをファーサイドでフリーになったMF松本昌也にピタリと届け、先制点もアシストしてみせた。
「風を利用した感じで、うまくいって良かった」
岡山は後半に追いつかれ、1-1で終了したため、試合の行方はPK戦に。そこでも小倉は6人目のキッカーとしてシュートを決め、福岡サポーターの目の前で力強くガッツポーズ。強心臓ぶりも見せた。
だが、試合後に己の中に強く印象に残っているのは、ボールロストをはじめとした“うまくいかなかったプレー”だ。
「所々でボールを失ってしまったり、かっさらわれたりすることがあった。集中力やスピードが本当に大学と違うことがわかった。そういったものは次に繋げていけたらいいかなと思う」
特に前半の立ち上がりは死角からボールを突かれて失ったり、マイボールにしてから前方のパスコースを探している間に奪われたりといったプレーがあった。だが、それらは時計の針が進むにつれて減っていき、木山隆之監督も「すぐアジャストしていく能力がある。試合の終盤にはもう自分でゲームをコントロールできる、ボールをコントロールできる状況になっていった」と適応力の高さに賛辞を送った。
だが、小倉の目標はJリーグで活躍し、少しでも早く海外でプレーすることだ。
次節の対戦相手は、サンフレッチェ広島だ。昨季に“中国ダービー”と名付けられた一戦は、今季も両チームのサポーターはもちろん、Jリーグファンの耳目を集めるだろう。
「本当にJリーグが甘いところではないことが身に染めてわかった。広島はレベルの高い相手だと思うので楽しみだし、自分の力を存分に発揮したい」
プロの舞台で新たな一歩を踏み出した小倉は、上だけを見つめている。
取材・文=難波拓未
【ゴール動画】小倉幸成が岡山の先制ゴールをアシスト!

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