「選手たちは湘南さんとできることをすごく楽しみにしていました。『思い切って表現してこい!』と送り出しました」という高橋勇菊監督の言葉通り、八戸はキックオフから局面局面での強度や出足の速さで湘南を上回り、相手陣内で優位にゲームを進めていく。チームの矢印は常に前向き。積み上げてきた八戸のスタイルで真っ向勝負を挑んだ。敵将の長澤徹監督も「ずっと勝ってきていますし、あのスタイルをやり込んできているメンバーと、そのままやり合ったら負ける」と試合後の会見で述べるほど、鮮烈な前半45分間だった。
「相手コートでサッカーをすること。守備から入ってボールを奪ったらゴールに向かうことは表現できていた」と手応えを得た一方で、「それをした上でゴールの中にボールを入れなければならない」とは指揮官の弁。結果的に湘南ゴールを割ることができずスコアレスで折り返すと、70分に痛恨の被弾。0-1で敗れ、高橋監督は「我々が狙いとしていた守備や攻撃はある程度出せましたし、良い入りもできましたが、やはりゴール前の質の差が出た」と総括した。
期限付き移籍期間を延長し、今季も八戸の一員としてプレーする中野誠也は71分まで出場した。「百年構想リーグですけど、J2に上がったことを実感できるゲームでした。自分たちのらしさをどこまで出せるのか。
昨季はJ3リーグ36試合に出場し、5得点2アシストをマーク。快足を生かした裏抜けと優れた得点感覚に加え、前線からの激しいチェックも光る。八戸が志向するスタイルにおいて、欠かせない存在だ。収穫も課題もあった一戦、ストライカーの中野は「自分や澤上(竜二)選手がもっとシュートするシーンを作りたいというのはありますけど、自分が潰れ役になって2列目、3列目の選手が打てるのもポジティブに捉えています」と語る。2トップの澤上&中野、2列目の佐藤碧&永田一真。前線の顔ぶれに変化はなく、互いを信頼しているからこそ出てきた言葉だろう。
「もちろん得点は取りたいですし、アシストもしていきたいですけど、チームとしてどう機能するかが大事。(攻守で)スイッチの入れ役になることも役割だと思っています。いろいろな部分で貢献できるように。もちろん結果も残していきたいです」と中野。
取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)

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