イラク代表を率いるグラハム・アーノルド監督が、今月末に控えたFIFAワールドカップ2026大陸間プレーオフの開催延期を求めたようだ。アーノルド監督の出身国であるオーストラリアのメディア『AAP通信』が同監督のコメントを伝えた。


 1986年のメキシコ大会以来、10大会ぶりのFIFAワールドカップ本大会出場をめざすイラク代表。FIFAワールドカップ26アジア2次予選ではグループFで6戦全勝の成績を収めたものの、グループBに入った最終予選では韓国代表、ヨルダン代表に次ぐ3位となり、4次予選(アジア・プレーオフ)に進出。同ステージでは開催国のサウジアラビア代表と同じく1勝1分の成績を残しながら、総得点で下回り、5次予選へ進むことに。ここではUAE代表(アラブ首長国連邦代表)を2戦合計3-2で破り、大陸間プレーオフへの出場権を得ていた。

 なお、イラク代表は最終予選の途中まではヘスス・カサス前監督が指揮を執っていたものの、イラクサッカー協会(IFA)は昨年4月に「重大な契約違反があった」として、同監督との契約解除を電撃発表。最終予選の途中からは、2024年9月までオーストラリア代表を率いていたアーノルド監督がチームを率いている。

 イラク代表は大陸間プレーオフではパス2に入っており、ボリビア代表vsスリナム代表の勝者と対戦する。決戦は今月31日、メキシコのモンテレイで開催予定だ。

 しかしながら、今回の報道によると、昨今の情勢を受けて、イラク代表の試合準備は混乱に陥っているという。現在、イラクの隣国であるイランが、アメリカ合衆国およびイスラエルが行った大規模軍事作戦により、攻撃を受けている。その報復として、イランも米軍基地を構える湾岸諸国への報復を強めるなど、社会情勢の問題が露呈している。イラクの米空軍基地があるアルビールもミサイル攻撃を受けている。


 現状では、イラクの空域は封鎖を強いられており、4月1日まで空の便の再開目処が立っていない。加えて、ビザの発給も間に合うか否かが不透明な状況。イラク代表の主力選手は、半数以上が国内クラブに所属する選手たちだが、このままでは、彼らは大陸間プレーオフに出場できないことになる。このような状況を受けて、イラク代表は大陸間プレーオフのために予定していたアメリカ合衆国のヒューストンでの事前合宿をやむなく中止としていた。

 選手だけでなく、スタッフも、試合会場のメキシコ入りの目処が立っていない状況だが、現在はUAEにいるアーノルド監督は、『AAP通信』の電話取材のなかで、「40年ぶりの大一番に臨む上で、我々には最善の布陣が必要だ。しかしながら、空港が閉鎖されている状況では、最強のチームを構成できない可能性がある。代替案を模索するために懸命に取り組んでいるところだ」と発言した。

 加えて、アーノルド監督はFIFA(国際サッカー連盟)に対して、「現在、選手たちをイラクから出国させるのに苦戦しているんだ。この試合(大陸間プレーオフ)の運営を助けてほしい」と要請。具体的には、開催日時の延期を提言し、次のようなプランを明かした。

「FIFAが試合を延期すれば、我々は適切な準備時間を確保できる。ボリビアとスリナムの試合は予定通り今月の開催でも構わない。
ただし、彼らの勝者と我々の試合は、ワールドカップ開幕の1週間ほど前の開催とさせてほしい。勝者は残留、敗者は帰国する形だ」

 これらの主張には、イラン代表が、今年6月から7月にかけて北中米3カ国で共催されるFIFAワールドカップ2026本大会に出場できない可能性も考慮されている。イギリスメディア『ガーディアン』などが報じたところによると、既に出場権を持つイラン代表が出場不可となった場合、繰り上げでイラク代表に出場権が渡る可能性がある。

「(大陸間プレーオフ決勝をワールドカップ開幕1週間前に開催するプランを採用すれば、)FIFAがイランの対応を決定する猶予も生まれる。イランが出場できないならば、我々はワールドカップに出場できる。その場合、(アジア5次)予選で我々に敗れたUAEが大陸間プレーオフに出場することとなるが、彼らがボリビアかスリナムの勝者との対戦に向けて準備する時間も確保できる」とアーノルド監督。「IFAのアドナン・ディルジャル会長は、イラク国民の夢を叶えるため計画と準備に昼夜を問わず取り組んでいる。だからこそ迅速な決定が必要だ」とFIFAに訴えた。


【ハイライト動画】イラク代表、劇的弾で大陸間PO行きを決める



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