明治安田J2・J3百年構想リーグ開幕から、輝きを放つ点取り屋がいる。柏レイソルからの期限付き移籍でRB大宮アルディージャに加わった山本桜大だ。


 昨季は期限付き移籍先のレノファ山口FCで10得点をマークし、一気にブレイク。新天地・大宮では早くもチームにフィットし、宮沢悠生監督に「自分がやりたい“レッドブルサッカーの体現者”というイメージ」とまで言わしめてみせた。

 J2・J3百年構想リーグで“今、最も見るべき男”山本に迫る。

取材・文=北條聡
写真=菅野剛史

「暇さえあれば、打っていた」幼少期に磨いたシュート力

――開幕から5試合連続で先発し、ここまで3得点2アシストです。まさに順風満帆のすべり出しといった感じですが、ご自身の手応えはいかがですか?
山本 悪くない、という感じです。

――年明けのRB大宮アルディージャの新体制発表の席で、具体的な目標を口にされていました。
山本 8得点5アシストですね。数字(結果)にこだわりたいと思っているので。

――昔からですか?
山本 そうですね。やっぱり攻撃の選手はそこを評価されると思うので。

――自分が点を取るんだ!という強い使命感を持っているのですか?
山本 いや、「自分がやらねば」という意識は極力持たず、自然体です。考えすぎない方が結果的に点を取れていると思うので。


――今季はトップ下、昨季はインテリオールでプレーされていましたが、柏レイソルのアカデミー時代やトップに昇格してからは主にどのポジションでプレーされていたのですか?
山本 基本的には2トップの一角ですね。トップに昇格してからは4-4-2のサイドハーフで使われるケースもありましたが、2トップに入ることが多かったですね。

――昨季や今季のように、2列目のインサイドでプレーした経験はなかったのですか?
山本 はい。柏時代はなかったですね。

――攻撃的なポジションなら、どこでも対応できる感覚があるのですか?
山本 ここ2シーズン、サイドでプレーする機会がなかったので、ちょっと感覚は薄れていますけど、トップやシャドーも対応できると思います。

――昨季と同様、トップの下で躍動する姿が印象ですが、今のポジションはやっていて楽しいですか?
山本 そうですね。今は自由にやらせてもらっているので。気を遣わずにというか、あまり考えすぎず、のびのびやれている実感はあります。

――今季とほぼ同じポジション、役割を担っていたレノファ山口FCでの経験も大きかったですか?
山本 そうですね。昨季も「自由にやっていいぞ」という感じだったんです。相手のディフェンスラインの手前で(ボールを)受けたり、ラインの背後へ抜けたり……。前線の選手たちとのコンビネーションを含め、すごくやりやすかったですね。


――改めて昨季を振り返ると、1シーズンを通じてコンスタントに試合に出ることも初めてなら、2桁得点(※33試合10得点)を記録したのも初めてでした。
山本 あの経験は本当に大きかったと思います。もちろん、2桁得点をマークできたことも自信になりましたが、試合勘やゲーム体力といった部分も含めて、確実に生かされていると思います。

――出場機会に恵まれない時期はどうでしたか?
山本 やっぱり試合に出ていないと、練習の時にボールを受けるのがちょっと怖かったですね。取られることばかりイメージしてしまって……。

――ネガティブになっていたわけですね。
山本 スタメンで試合に出ていれば、ボールを失うことも普通にあるので。だから、山口で出場機会を得て、やっぱりボールを持った時の方が楽しいなと。そうして、自分の感覚を取り戻せました。

――思えば、昨季の最終節で戦った相手が大宮で、山本選手は山口を勝利へ導く2得点。1つは同点、もう1つが決勝点でした。大宮からオファーが来るんじゃないかという予感はあったんじゃないですか?
山本 「もしかしたらあるかもよ」というのは代理人の方から聞いていました。


――それにしても鮮烈だったのは一直線にゴールネットに突き刺さった同点ゴールです。少し後ろに戻りながら腰を素早く回転させて……。体幹が強くないと、あんなシュートはいかないと思いますが、かなり鍛えていたのですか?
山本 いや、特別に鍛えてはいないですね。ナチュラルだと思います。ただ、小さい頃から、めちゃくちゃシュートを打っていましたね。

――つまり、自然と身に着いたわけですね。
山本 そうですね。自然とかな……。

――シュートの軌道がストレートですよね。しかも、なかなかボールが落ちない。バックスピンがかかっているように見えるのですが、実際はどうですか?
山本 特にボールの回転を意識したことはないですが、そう(バックスピン)かもしれないですね。例えるとすると、何だろう……。
センターバックの選手たちが蹴るカットボールに似ていると思います。

――シュートは小さい頃から打ち込んできた、ということですが、具体的にはいつ頃からですか?
山本 レイソルのアカデミーに入ってからなので、小4くらいだと思います。

――じゃあ、10歳くらいからシュートをガンガン打ってきたわけですね。
山本 そうですね。暇さえあれば、打っていたような気がします。好きですね、シュートが。

――加えて、ボールを止めてからシュートを打つまでのアクションが早いですね。
山本 最短時間でシュートを打つことの重要性はレイソルのアカデミー時代に学びました。意識して取り組んできたところです。

――自信を持って足を振っている感じが見ている側にも伝わってくるのですが、実際はどうですか?
山本 確かに、左サイドのペナルティエリアの角辺りから打つ時は、そうかもしれないですね。

――キックのフォルム(型)が安定しているので、今のシュートをもう一度、同じ威力、同じ角度、同じ場所に打てと言われても再現できる感じですか?
山本 そうですね。できると思います。


――相手は必要以上にシュートを警戒するので、キックフェイントの効果は絶大ですね。開幕戦のゴールはその好例かと。
山本 それは感じますね。今後も使わせてもらおうと思っています。

――前述した通り、ボールがなかなか落ちないので、実際のシュートレンジはもっと広いんじゃないですか? さらに遠目から狙うのはどうでしょう。
山本 そうですね。やってみます(笑)。

新天地・大宮に早くもフィット「とにかく、好きですね。プレーのテンポも雰囲気も」

――先ほどピッチ上では自由にやらせてもらっている、とのことでしたが、加入する前は大宮に対し、どのような印象を持っていましたか?
山本 正直、めちゃめちゃ良い印象がありましたね。

――大宮のサッカーが自分に合っている、と言う感覚もあるそうですが。
山本 そうですね。僕自身、スプリントを含め、走っている方が勢いづくというか、プレーにリズムが生まれやすいなと感じていたので。
実際、大宮はガンガン、前からプレスに行くじゃないですか。そういうところが、性に合っているなと。

――攻めも守りも“急がば急げ”という感じですね。
山本 そういうところも良いと思うし、カウンターアタックも速い。とにかく、好きですね。プレーのテンポも雰囲気も。

――あまり攻撃の選手から聞いた記憶がないのですが、守備について“嫌いじゃない”と。
山本 自陣に引いた状態で守るのは好きじゃないですけど、前から積極的にプレスをかけてボールを奪いに行くような守備は嫌いじゃないんです。スプリント自体は全然苦じゃないので。

――攻撃に関して言うと、後ろに小島幹敏選手や加藤玄選手がいるので、自分の欲しい場所やタイミングでパスが来るんじゃないですか?
山本 そうですね。敵の懐に(縦パスを)刺せますし、ギリギリのところを突いて来るので、すごいなと。常に自分を見てくれているので、本当にやりやすいですね。

――逆にご自身で課題と感じている部分は何ですか?
山本 ゴール前での質、特にパスの部分ですね。そこがまだまだ低いなと感じています。

――原因は何でしょう?
山本 迷いですね。選択肢がいろいろあると、迷いやすいので。そこで素早く決断できるようにしたいですね。

――迷いなくプレーしている印象がありました。
山本 シュートを打つ時は迷いがないんですけど、パスを出す時が……。

――周りに優れた選手が多い分、パスの選択肢(受け手の数)が増えてしまうわけですね。
山本 贅沢な悩みですけどね。

――まだリーグ戦は3分の1を消化した程度ですが、この先、トライしたいことはありますか?
山本 ドリブルからフィニッシュに持ち込んで、ゴールを決めることですね。

――昨季のようなプレーですね。
山本 山口時代は結構、自分の周りにスペースがありましたからね。

――カウンターの局面が多かったですね。他方、大宮の場合は敵陣に押し込むケースも少なくない。
山本 大宮の場合、選手同士の距離感が良い分、広いスペースは限られているので。

――ご自身のフィジカル面に関してはいかがですか?
山本 もっとゴツい体になりたいですね。

――激しいコンタクトに負けないような。
山本 もちろん、それもありますけど、体が細く見えるので。特に半袖を着た時の上半身とか……。

――じゃあ、筋トレに励んでいるわけですね。
山本 はい。頑張ってやっています(笑)。

――選手としての目標、この先のキャリアについて何か具体的なイメージを持っていますか。
山本 特に“これ”というものはないですけど、チームタイトルを取りたいですね。J2優勝とか。そして、できればJ1リーグの舞台に立ち、シーズンを通じて活躍してから、海外に行けたらいいなと思っています。

【RB大宮アルディージャ ホームゲーム情報】
日程:3月14日(土)14:00キックオフ
対戦:藤枝MYFC
場所:NACK5スタジアム大宮
チケット:好評発売中


【ゴール動画】これぞ山本桜大! 開幕戦で決めたスーパーゴール!

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