■四国王者と全国への「1枠」を懸けた戦い

 4月5日・6日の2日間、愛媛県松山市の愛媛県総合運動公園で「JA全農杯2026 全国小学生選抜サッカー IN 四国」が開催された。四国4県の県大会上位3チーム、計12チームが集結し、優勝チームに与えられる全国大会出場権を懸けて熱戦を繰り広げた。


 試合は8人制で、12分×3ピリオド制。第1・第2ピリオドはそれぞれ異なる8人が先発し、同一選手の連続出場は認められない。5分間のインターバルを挟む第3ピリオドは、全メンバーから先発を選出でき、交代も無制限に行われる。

■徳島の「No.10」の豪快ミドルが試合を決める

 3チームずつ4グループに分かれて行われた予選リーグでは、前回大会優勝のDESAFIO CLUB DE FUTBOL(香川県第2代表)に加え、各県の第1代表も半数が準決勝に進めず。それらの波乱を象徴するように風雨吹き荒れるあいにくの天候だったが、予選リーグの順位を経ての2日目・決勝トーナメントは一転、満開の桜が彩る中で行われた。

 そのうち、予選リーグD・1位(2勝・11得点2失点)のFCディアモジュニア(香川県第1代表)と予選リーグB・1位(2勝・4得点0失点)のFC reverse Jr(愛媛県第1代表)、予選リーグC・1位(2勝・2得点0失点)の徳島ヴォルティスジュニア(徳島県第2代表)と予選リーグA・1位(1勝1分・5得点1失点)のUNITED SS 高松(香川県第3代表)がそれぞれ対戦した準決勝では、第1ピリオドでの2得点を活かし2-0でFC reverse Jrを下したFCディアモジュニアと、UNITED SS 高松に先制点を許しながらもPKで追い付き、最後は両チーム計10人が蹴った壮絶PK戦を4-3で制した徳島ヴォルティスジュニアが勝ち上がり、決勝戦で激突した。

 決勝戦・第1ピリオドの両チーム先発メンバーはFCディアモがGKが宇津禅(6年)、フィールドプレーヤーが女子選手の加藤唯織(6年)、キャプテンの田辺誠(6年)、宮地一希(6年)、石塚伊織(6年)、田岡大翔(6年)、天羽勇晴(6年)、原田碧大(6年)。対する徳島はGKが坂下和久(5年)、フィールドプレーヤーが石井樹意(5年)、濱田竜之介(6年)、秋岡佑弦(5年)、中佐古晃希(6年)、キャプテンの苧漬川幹汰(6年)、塩田翼(6年)、三宅快翔(5年)となった。

 徳島がGKからポゼッションで組み立て、対するFCディアモがそのボールを前向きに奪取しカウンターを狙う中、先制点が生まれたのは6分。

「試合前にコーチから1回足を振っておけと言われていた」徳島のキャプテン・苧漬川が思い切り右脚を振り抜くと、ボールは低弾道のシュートとなってゴール左隅に。準決勝のPK戦ではGKとして勝利の立役者となるなど、文字通りチームの大黒柱たる「No.10」は、豪快ミドルを決めるとトップチームでもおなじみの阿波踊りポーズで喜びを表現した。

 続く第2ピリオドの両チーム先発メンバーはFCディアモがGKが瀬尾竜磨(6年)、フィールドプレーヤーが大浦弘夢(6年)、安西健琉(6年)、松岡蓮翔(6年)、丸山晴徳(6年)、水田景(6年)、畑本一穂(6年)、松田陽翔(6年)。
対する徳島はGKが濵晴人(5年)、フィールドプレーヤーが齋幸之介(6年)、濱口瑛大(5年)、松浦拓登(6年)、長谷川創祐(5年)、齋藤航希(6年)、富永卓輝(5年)、安崎晴賀(6年)。

 FCディアモが同点を狙う中、ここで輝きを見せたのは徳島の長谷川であった。相手が差し込もうとするパスコースに顔を出すと、まるでトップチームのボランチ・岩尾憲のごとく次々とボールを回収。このピリオドを0-0でしのぎきる功労者となった。

 そして勝負の第3ピリオドでは両チームは第1ピリオドのメンバーを中心に8名を構成。FCディアモは加藤の粘り強い守備対応から、田岡の推進力、準決勝2ゴールの天羽といった2026前期JFAトレセン香川U-12メンバー3名を軸に反撃するが、徳島は第1ピリオドでは中盤に位置していた中佐古を守備ラインに入れるなど、ディフェンスを安定させることでゴールは許さず。結局、第1ピリオドの1点を守り切った徳島が1-0でFCディアモを下し2年ぶりの大会優勝を飾った。


 なお、優勝した徳島ヴォルティスジュニアは5月3~5日に神奈川県で開催される「JA全農チビリンピック2026 JA全農杯全国小学生選抜サッカー決勝大会」に四国代表として出場。2年前には予選リーグ3連敗で終わった全国での1勝を目指し、チームはさらなる結束力を高めていく。

■試合後コメント

▼行友亮二監督(徳島ヴォルティスジュニア)
今年勝てたのは驚きです。6年生の年代は3年生、4年生、5年生の時も含めて大会優勝がこの大会ではじめて。このチームの課題は闘う部分にあったのですが、決勝戦では相手に10番などの強烈な選手がいたので、球際やボールの拾い合いを強調して、選手たちが粘り強く闘ってくれた結果が出ました。
これまでは競り合いの試合をずっと逃してきたんですが、今大会では準決勝でPK戦を勝ち切ることができたことも自信になりmさいた。

6年生は真面目で言われたことは一生懸命にするんですが、それを上回るものが出せないという課題があります。ゴールを決めた苧漬川は普段野性味あふれる子どもなんですが、シュートの場面では思い切り打ってくれましたね。

全国大会は自分たちが大切にしているテクニックの部分は大事にしながら、我々を上回る選手たちがたくさんいる中でその技術をどのように発揮できるか。そして持ち前の粘り強さでいかに闘えるかを強いチームを相手に出せるいい機会。成長につなげられる試合にしたいと思います。勝ちを目指し1つでも多く勝つ意気込みでいきたいです。

▼苧漬川幹汰(徳島ヴォルティスジュニア)
優勝は率直にうれしいです。決勝戦は緊張感もある中で、第1ピリオドでは僕がボランチの位置に入って相手の10番に警戒しながら、サイドから攻撃しつつこぼれ球を狙っていくコンセプトでゲームを支配できました。第3ピリオドでは10番がより前に出てきて押し込まれる場面もあったんですが、そこは気を付けて守ることができました。

ゴールシーンは試合前にコーチから「1回足を振っておけ」と言われてたんで(笑)。海外選手のシュートをイメージして打ちました。


県大会では決勝戦で沖洲フットボールクラブに負けてしまったんですが、今大会で彼らより強いことが証明できたこともよかったです。全国大会は勝つことは前提ですが、相手も強いと思うので自分たちのプレースタイルを出しつつ、全国でも通用できるプレーをしたい。守備では強さ・粘り強さ、攻撃ではサイドからのクロスなどの精度など鋭く速いものを出していきたいです。

▼安慶名裕監督(FCディアモジュニア)
決勝戦はウチの選手の中で徳島ヴォルティススクールのスペシャルクラスに通っている選手もいるので、ある程度の陣容は予想していましたが、予選リーグから目の前の試合を必ず勝っていくことを強調する中で、相手より自分たち主導でサッカーをすることを選手たちが求め、ピッチ上で一生懸命に表現してくれました。

ただ、相手の出方をうかがうために少し引き気味になってしまったことで、第1ピリオドでは相手の2番を中心とする左サイドをうまく使われてしまいました。第3ピリオドでは逆に前に押し出すことで相手を抑えることができました。ここは選手たちにも「自信を持ってプレーしようね」と伝えたいです。

現段階では100%の力は出せたと思いますが、押し込まれた中でも決め切る力が必要でした。この敗戦を乗り越え、次に徳島ヴォルティスジュニアと対戦した時は勝ち切れるように、日々のトレーニングから取り組んでいきたい。

うちのクラブは様々なサッカースタイルや試合の状況がある中でも判断ができる選手を育てていくのがジュニアユースを含めたスタイルです。高校や次の年代で花開き、プロになれる選手が出てきてほしいと思います。
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