こうした強気のマインドが結果にも表れている。FC東京は10試合終了時点で勝ち点20を稼ぎ、2025年のJ1王者・鹿島アントラーズに続く2位につけているのだ。消化試合数にバラつきがあるものの、折り返し地点を過ぎたところで上位争いができていることは朗報だ。その勢いを加速させるためにも、今節の横浜F・マリノス戦から白星街道を邁進しなければならなかった。
けれども、この日は季節外れの暑さとアウェイの雰囲気が災いし、序盤の入りはよくなかった。立て続けにチャンスを作られ、主導権を握られる苦しいスタートを強いられた。そこで光ったのが、今季の大きな強みとなっている“堅守”。キム・スンギュやアレクサンダー・ショルツという優れた外国人助っ人たちの力も大きいが、昨年6月に古巣復帰したキャプテン・室屋成が世界基準を貪欲に追い求めていることも、好材料になっていると言っていい。
「ブンデス基準? 今はどこの国でもインテンシティの高さがないと勝てない時代になっている。
苦しい時間帯を耐え忍び、前半43分に佐藤恵允がカウンターから先制点をゲット。これも佐藤龍之介のボール奪取が起点だった。1点をリードして折り返すことに成功したことで、後半は優位にゲームを運び、室屋自身も攻撃参加の回数が増えていく。
最たるシーンが後半15分の決定機。佐藤恵允の縦パスを受け、相手DFのマークミスもあって一気に前線へドリブルで侵入。そのままシュートを打つと誰もが確信したが、キャプテンはまさかのラストパスを遠藤渓太へ。これが外れてしまい、「打てばよかったです」と苦笑するしかなかった。
「ボールを奪って自分で運べて、ヒアンがいいタイミングで開いてくれたんで、1本スルーパスを通しました。相手の選手が少しボールウォッチャーになってたんで、『強いボールを差し込んだら、ワンチャンあるかな』と。ヒアンが少し角度のないところで難しい流れでしたけど、決めてくれてくれてよかったです」と結果的に決勝点をアシストできたことに、安堵感をのぞかせた。
最終的には3−1で勝利。加藤蓮に豪快なミドル弾を決められ、失点が1つ増えてしまったのは残念だったが、11試合で通算8失点は高く評価していい実績だ。目下、最少失点は鹿島の5だが、FC東京はそれに続く少なさ。「守備が堅いチームでなければ優勝争いはできない」というのは、かつて長谷川健太監督が率いていた時代を知る室屋も痛感しているはず。32歳になったキャプテンは、近年中位に甘んじてきたチームを勝てる集団へと変貌させつつあるのだ。
「今はまだ鹿島とのポイント差が離れていますし、本当に勝ち点を1つも落とせない状況。貪欲に1試合1試合大切に戦っていきたいと思っています。町田戦を見てもらったら分かりますけど、今の自分たちに何ができるかというのをよく分かってもらえると思う。
ドイツで5シーズンを戦い、ブンデスリーガ1部に上がれそうなところで上がれないという経験をしてきた室屋は、細部を突き詰めて戦うことの重要性を誰よりもよく分かっている。その経験を糧に、古巣・FC東京でやるべきことを徹底させているのだろう。
「自分から発信? そこまで意識していないですけど、みんなが本当に高い意識でやってくれているので、全員でやっているだけです」と彼は謙遜していたが、ピッチの内外で厳しさを植え付けているのは間違いない。タフで頼もしいリーダーに導かれるFC東京はここから頂点に手が届くのか。ここから終盤戦の戦いぶりを冷静に注視していくことが肝要だ。
取材・文=元川悦子
【ハイライト動画】キャプテン室屋が躍動!横浜F・マリノス vs FC東京

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