車中泊旅の“手段”としてのキャンプ | 車中泊旅専門家が教える車中泊キャンプのポイント

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【概要】クルマ旅専門家・稲垣朝則さんに聞いた車中泊キャンプのポイント。クルマ旅の手段として車中泊キャンプを行う稲垣さんの車中泊キャンプの活用例、ギアの紹介など。

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クルマ旅では車中泊もキャンプも、宿泊手段の選択肢。大切なのは、それを目的に応じてうまく使い分けることだ。クルマ旅専門家に「車中泊キャンプ」のポイントを教えてもらった。

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画像2: 車中泊旅の“手段”としてのキャンプ | 車中泊旅専門家が教える車中泊キャンプのポイント

教えてくれた人 クルマ旅専門家 稲垣朝則さん

2008年のカーネル創刊以来、現在まで「車中泊で旅する」コーナーを連載し続けているクルマ旅のエキスパート。ハイエースのナローサイズを架装したバンコンで、毎年100泊近い車中泊をこなしている。

「クルマ旅」の手段としてのキャンプ

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画像: 「クルマ旅」の手段としてのキャンプ

最近テレビや雑誌では、「旅」より「脱日常」を目的にした車中泊キャンプの様子をよく見かける。

週末になると湖畔や高原のキャンプサイトに出かけ、そこにお気に入りのファニチャーを出して、周りにラブリーなインテリアを飾り、開放感に満ちた癒やしのひとときを過ごす。黄昏時からの焚き火は、そのハイライトとも呼ぶべきものかもしれない。

筆者も年に何度かは家族や気の合う仲間と、そういうキャンプを楽しんでいるが、それには寝床がテントであろうが、クルマであろうが本質的な違いはない。

設営と撤収が楽になるなど、クルマで寝る利点はもちろんある。だがこれから紹介する「クルマ旅の車中泊キャンプ」は、明らかにそれとは異質のものだ。

たとえていえば、クルマ旅と車中泊はコインの「表と裏」。そしてコンテンツは「厚み」

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画像: たとえていえば、クルマ旅と車中泊はコインの「表と裏」。そしてコンテンツは「厚み」

クルマで日本中を旅している筆者は、たとえば今日は絶景が連続する観光道路のドライブ、明日は有名な温泉郷で名湯めぐり、明後日は渓流釣りといったように、旅先に応じたスケジュールを立ててアクティブに行動している。

実際にそのスケジュールどおりに無理なくクルマ旅を続けていくためには、軽装であるだけでなく、目的にマッチするいくつかの宿泊手段を使い分けないと、狙いどおりの成果を得ることは難しい。

特に北海道では、キャンプ場をほかのどの施設より多用している。

「クルマ旅の車中泊キャンプ」活用例

クッキング

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画像: クッキング

長旅では外食ばかりに頼るのは難しく、自炊を取り入れる旅人は多い。その際に筆者が注目するのは郷土料理だ。生の筋子が手に入る北海道では、高価なイクラの醤油漬けも自前でつくる。

アウトドア

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画像: アウトドア

雲海や野鳥などの撮影や釣りは、早朝からの行動が必要になるため、フィールドに近い場所での車中泊が理想的だ。特に釣りには、その後の処理ができる炊事施設が欠かせない。

車中泊スポットの確保

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画像: 車中泊スポットの確保

北海道といえども旬を迎えた観光地では、平日でも道の駅や観光駐車場が夜間満車になることは珍しくない。そういうときには、事前に予約のできるキャンプサイトが車中泊には重宝する。

緊急避難

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画像: 緊急避難

長旅にトラブルは付き物だ。予期せぬ天候不良や、時にはクルマや機械の故障で交換部品が必要になることもある。そんなときは配送の荷物が受け取れ、腰を落ち着けられるキャンプ場が安心だ。

「+キャンプ」のアイテムを構築 ギアの基本は「少数精鋭」

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クルマ旅の場合は、毎日キャンプ場で車中泊ができるとは限らない。ゆえに「すべての荷物を積んだまま寝られる」ことが不可欠だ。そうなると、見栄えのよさより「収納性」「機能性」「汎用性」に優れた装備とキャンプギアが必然的に求められる。

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画像: 現在のファニチャーは、このクルマの収納スペースに合わせて再構築した。

現在のファニチャーは、このクルマの収納スペースに合わせて再構築した。

車中泊キャンプは明日に備えてするもの。連泊以外は、寝る前に荷物を撤収

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画像: 焼き肉もガスグリルを使えば、後始末が簡単。

焼き肉もガスグリルを使えば、後始末が簡単。

「クルマ旅の車中泊」はキャンプサイトに滞在する時間が短いため、要領が悪いと忙しいだけでなく、周囲のキャンパーにも迷惑がかかる。その典型例が撤収作業だ。

撤収を要領よく行う秘訣は2点あり、ひとつは片付けやすいギアを数少なく使うことだ。炭よりもガスのグリル、トレーはランチプレート使うといえばわかりやすいだろう。

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画像: ランチプレートはお皿の使用枚数を劇的に減らせる。

ランチプレートはお皿の使用枚数を劇的に減らせる。

もうひとつは段取りにある。筆者は日が暮れる前に食事を済ませ、早々と撤収を始めるようにしている。一番の理由は明るい時間のほうが、作業がはかどるからだ。同じ薄明かりでも早朝は周囲のキャンパーに迷惑がかかる。

サイドオーニングは必要? 水には強いが風には注意

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画像: サイドオーニングは必要? 水には強いが風には注意

サイドオーニングは雨はもちろん、夜露でキャンプギアが濡れるのを防ぐほか、カラスなどからもテーブルの上の食材を守ってくれる有能な装備。

濡れても簡単に収納できる点がカーサイドタープとの大きな違いだ。

またボディに固定できるアタッチメントを付けておけば、アスファルトの上でも使える。

ただし装着に費用や加工が必要。また、風の強い日には使用しないほうが無難。下からあおられると破損しやすく、最悪時は外さないと動けなくなる。

バイクキャリアは万能 ゴミや濡れ物もキャリアへ

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画像: バイクキャリアは万能 ゴミや濡れ物もキャリアへ

バイクキャリアは本来は自転車を積むための外付け装備だが、車中泊キャンプにおける使いみちは万能だ。

持ち帰りのゴミや雨で濡れたシェルターなど、車内に入れたくないものを運ぶだけでなく、駐車時に雑巾を干したり、食器乾燥用のネットをぶら下げるのにも役に立つ。

ただしフェリーに乗船するときはたたむほうがいい。車長が車検証の数値をオーバーすると、追加料金を請求される。

予約時にキャンプ場に伝えるべきこと

区画化された高規格オートキャンプ場には、その駐車場での車中泊を想定していないところも多い。

水はけをよくするために多少の傾斜があるのは仕方がないが、バックから入庫するとスライドドアがサイトと反対側に……。なかには縁石が出っ張っているため、前からは駐車できないという最悪の施設もあった。

それを避けるには予約時に車中泊であることを告げ、サイトが選べないにしても、できる限り車中泊に適した区画を充てがってもらうことだ。

これはキャンプ場の設計がきちんとしていれば必要のない行為なので、わがままには当てはまらず、利用者が遠慮をする必要はまったくない。

車中泊時のキャンプ場でのマナー

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画像: 車中泊時のキャンプ場でのマナー

クルマに比べてテントは防音性が弱く、道の駅での車中泊とは違う配慮が必要になる。

具体的にはドアの開閉音が挙げられるが、さらに冬場はFF ヒーターの音も騒音の要因になる。ただしそれは、電源サイトなら小型のセラミックヒーターでの代用が可能だ。

写真・文:稲垣朝則 
出典:カーネル2022年5月号vol.54 

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