
【概要】車中泊女子・まるななさんが、道央エリア(ニセコ、洞爺湖、登別温泉、支笏湖など)の紅葉キャンプ、温泉、グルメなど、クルマ旅で立ち寄りたいおすすめスポットを紹介。③は登別、室蘭、苫小牧・白老編。

2023年10月に室蘭~青森のフェリーが運行開始となり、道央圏がより身近になった。道央エリアは、ニセコ、洞爺湖、登別温泉、支笏湖など北海道を代表する見どころが盛りだくさん!
そのなかから、北海道民が何度でも足を運ぶスポット厳選して紹介しよう。
登別
日本有数の温泉地 温泉のデパート
登別(のぼりべつ)の名前は、アイヌ語「ヌプルペッ」(色の濃い川)が由来とされている。
歴史は古く江戸時代には登別に関する記録が残されており、1858年に滝本金蔵が私費を投じて「第一滝本館」の前身となる温泉宿と道路を整備し、登別温泉の基礎を築いた。
現在では、日本を代表する温泉地となり世界各地から観光客が集まる。
温泉街全体が硫黄の香りに包まれているが、硫黄泉だけでなくじつは9種類の温泉が湧出する非常にまれな土地で「温泉のデパート」と呼ばれている。
近くには登別カルルス温泉があり、まさに温泉天国だ。
登別地獄谷

迫力満点! 白煙立ち上る爆裂火口跡
地獄谷は、日和山の噴火活動によってできた直径約450m、面積約11haの爆裂火口跡。
荒々しい赤茶色と乳白色の山肌のところどころからボコボコと火山ガスが噴出し、その様子はまさに地獄といった雰囲気。
遊歩道で地獄谷内を散策することができ、「鉄泉池」から数分おきに温泉が噴出する様子が観察できる。

登別温泉からクルマで10分の場所に、登別カルルス温泉がある。
大湯沼川天然足湯

天然温泉の流れる川
大湯沼から流れ出した大湯沼川で天然温泉の足湯が楽しめる。10分ほど川沿いの山道を歩いた先に、足湯スポットがある。

座っても濡れないように銀マットが用意されているので、足ふきタオルを持参しよう。
大湯沼
温泉の湧く沼
地獄谷からさらに奥にある大湯沼は、底から硫黄泉が湧く沼で、周囲約1km、深さ22mのひょうたん 形をしている。
日和山の水蒸気爆発でできた爆裂火口跡で、湯の沼の表面温度は、約40~50℃だが、 最深部では約130℃あるという。
登別の温泉ならココ!
泉質の違いを楽しみたい
日帰り入浴が楽しめるホテルが数多くある。登別温泉といえば、乳白色の硫黄泉をイメージしがちだが、じつは泉質は全部で9種類もあり、温泉施設ごとに異なる泉質を楽しむものいいだろう。
湯元さぎり湯

100%源泉掛け流しの温泉が、銭湯価格で気軽に楽しめる。濃い乳白色の硫黄泉に浸かると、登別温泉に来たと実感するかも。
第一滝本館

大浴場から地獄谷を一望できるロケーションと湯船の多さに驚くはず。ここだけで5種の泉質が楽しめ、まさに温泉の遊園地といった雰囲気。
登別グランドホテル

滝と小川が流れる庭園露天風呂・鬼灯の湯が豪華! 男女入れ替え制で、奇数日が女性、偶数日は男性。鬼灯の湯で贅沢な気分を味わってみて。
〈チェック〉車中泊は別のエリアで
温泉と食堂やレストランはあるが、温泉街が狭いためか時間貸しのパーキングやRVパークなどはないため、車中泊スポットもない。
室蘭や苫小牧までクルマで1時間ほどなので、そちらに移動するのがおすすめ。
室蘭
青森から室蘭へ。フェリーの新航路
室蘭(むろらん)はアイヌ語で「モ・ルエラニ」(小さな・下り路)を意味し、坂が点在する港町。
天然の良港をもつ室蘭は、古くは和人とアイヌの交易品を運 ぶ船が行き来し、明治時代には石炭の積出港として栄えた。
近年は、製鉄所を中心とした工業都市で「鉄のまち」として知られているが、港の反対側には100m前後の断崖絶壁が連なり、美しい自然と海が魅力の景勝地でもある。
2023年に室蘭から青森港を結ぶフェリーが15年ぶりに就航し、道央圏と本州のアクセスがしやすくなり、北海道観光の拠点としても注目されている。
地球岬

太平洋を一望
地球岬は、アイヌ語で「断崖」を意味する「チケプ」に由来。「北海道の自然100選」で得票数第1位となり一躍全国区となった。
展望台から見下ろす、白い灯台と紺碧の海のコントラストが美しい絶景スポット。左右には高さ100mの断崖絶壁が連なる景勝地だ。
測量山展望台

室蘭市内を望む
小さな山だが、室蘭港と白鳥大橋と室蘭岳、天気がよければ、羊蹄山や駒ヶ岳を見渡せる大パノラマが広がる。
夜にはライトアップされ、麓から見える測量山は、室蘭のシンボルともなっている風景だ。
津軽海峡フェリー

道央圏から本州が身近に
青森~室蘭は、1日1往復で運行。室蘭行きは、青森港9時発~室蘭港15時45分着。青森行きは、室蘭港20時発~青森港翌3時着の片道約7時間。
2023年10月2日から運行開始。
トッカリショ

切り立った断崖
トッカリショとはアイヌ語で「アザラシの岩」という意味。昔は多くのアザラシがいたことによるという。トッカリショは、断崖と奇岩が続き、青い海と緑のコントラストが美しいスポット。
イタンキ浜

鳴く砂浜
踏むと「キュッキュッ」と音の鳴る砂浜。アイヌ語で「ハワノタ」(声のある砂浜)と呼ばれ、晴れて砂が乾いていると鳴りやすいとのこと。
砂に不純物が混ざると鳴らなくなるので、たばこの灰も厳禁。
室蘭の温泉ならココ!
ZEKKEI BASE CAMP

温泉隣接のRVパークで車中泊キャンプ

臨海公園に隣接し、海に沈む夕日、ライトアップされた白鳥大橋と室蘭港を一望できる。道の駅みたら室蘭・むろらん温泉ゆららが徒歩圏内。テーブルとイスの使用、焚き火OKの通年営業のRVパーク。
室蘭ご当地グルメ
室蘭といえば、室蘭やきとり、カレーラーメンが有名だが、鉄のまちを支えるソウルフードを紹介。ぜひ味わってみて!
やきとりの一平 學亭


ご当地グルメ室蘭やきとりは、鶏肉ではなく豚肉。驚くほどジューシーな豚串は絶品。ランチはこの店舗のみ。お酒を飲まない人でも立ち寄れる。
天勝


大正9年創業で、昭和天皇も召し上がった老舗の天丼。しっとりした衣が特徴で、胃もたれせずにペロリと食べられてしまう絶品の天丼。
苫小牧・白老
苫小牧市(とまこまいし)は、太平洋沿いの工業都市。苫小牧から大洗、仙台、名古屋行きのフェリーが行き来し、北海道の海の玄関口である。新千歳空港と隣接しており、海空ともにアクセスは抜群!
白老(しらおい)町は、苫小牧の南側に位置し、アイヌ語の「シラウオイ」(アブの多い所)に由来。2020年に開業したアイヌ文化を体験できる「ウポポイ」は話題のスポットだ。
虎杖浜(こじょうはま)温泉は、北海道有数の湯量で通好みの名湯。どちらも、冬は積雪が少なく過ごしやすい地域で、11月の北海道旅には最適なエリアといえる。
ウポポイ(民族共生象徴空間)

アイヌの歴史、文化の発信
「ウポポイ」は、民族共生象徴空間の愛称。伝承者の減少により存立の危機にあるアイヌ文化の復興・発展の拠点となるナショナルセンターである。

ポロト湖のほとりにあり、国立アイヌ民族博物館、国立民族共生公園、慰霊施設がある。ウポポイとは、アイヌ語で「大勢で歌うこと」の意味。
オートリゾート苫小牧アルテン

宿泊中は何度でも入浴OKのオートキャンプ場
通年営業の温泉併設オートキャンプ場。暖房・水道設備が整うバンガローとオートサイトには一部電源あり。ゴミ処理可能。

管理棟でチケットを購入すると宿泊中は何度でも入浴可能。
苫小牧・白老の温泉ならココ!
海辺の温泉郷白老虎杖浜温泉
海岸の国道沿いに立ち並ぶ温泉地。北海道でも有数の湯量を誇り、とろりと濃い美肌の湯である希少なモール泉は、温泉通に知られた良質な温泉。
ホテルいずみ

加水循環なしの100%源泉掛け流しの天然温泉。開放感あふれる露天風呂からは雄大な太平洋を望むことができる。
花の湯温泉

24時間営業の天然温泉。昭和の雰囲気漂う館内は清掃が行き届いている。源泉掛け流しで、よく温まると評判。
アヨロ温泉

加水循環なし、消毒液未混入の100%源泉掛け流しにこだわった日帰り温泉。食堂のタラコを使ったメニューが人気。
グルメ 白老牛と海の幸に舌鼓
苫小牧はホッキ貝、白老はタラコ、毛ガニなど海の幸のほか、黒毛和牛、白老牛が名物。
牛の里

北海道のブランド牛「白老牛」が味わえる炭火焼肉店。平日ランチや直売所で手頃な値段で楽しめる。脂に甘みがありジューシーなステーキは絶品!
海の駅ぷらっとみなと市場

新鮮な海の幸が手に入る市場に併設された食堂の名物はホッキ貝。コリッとした食感にうま味が凝縮されたホッキ貝は、刺身、フライ、カレーにしても美味。
たらこ家虎杖浜

前浜産タラコは、臭みやエグみがなく絶品! 直売所の奥の食堂でタラコ料理を味わえる。お土産の購入にもよし。
執筆者プロフィール

まるなな
2017年に中古で購入した軽キャンピングカー・テントむしで登山、キャンプ、車中泊旅を楽しむ北海道在住の軽キャン女子。学校が休みのときは、祖父母がいる室蘭で過ごしていた。現在は、北海道を飛び出し日本各地に出没中。
写真・文:まるなな
写真提供:北海道観光振興機構、ニセコリゾート観光協会、国立公園支笏湖運営協議会
初出:カーネル2023年11月号vol.63