夏の夕方、海辺を歩いていたら、遠くから聞こえてくるBGMと肉の焼ける匂い——のはずが、看板には「BBQ禁止」の文字。近づいてみると、そこには堂々とグリルを囲む観光客の姿。
日本各地の海岸や河川敷で、こんな”あるある”が増えているようです。
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日本政府観光局(JNTO)によると、2025年の訪日外国人旅行者数は4,268万人。前年比15.8%増で、初めて4,000万人を超えました。インバウンドの活況が地域経済を支える一方、全国の自治体では海岸や河川敷、公園でのBBQを条例で禁止する動きも広がっています。

今回ご紹介するのは、過去に大きな反響を呼んだ実録エピソードから、「BBQ禁止」の看板を無視して浜辺で騒いだ外国人観光客グループの話。注意されても「No problem!」と笑っていた彼らを待っていた、思わぬ結末とは——。

記事の後半では、なぜ海岸でのBBQが禁止されているのか、その背景にある事情もあわせて振り返ります。

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「BBQ禁止」の看板を無視する外国人観光客の集団

 

“BBQ禁止”無視で大騒ぎ。「No problem」と笑う外国人観光客が警察に連行されるまで
※画像は生成AIによるイメージです
 インバウンド需要に沸く日本。しかし今、各所では外国人観光客による“マナー違反”が問題となっている。夏といえばBBQだが……。

 夕暮れ時、黒渕いさおさん(仮名)は、愛犬との散歩コースをいつもと変えて、海岸沿いの浜辺まで足を伸ばした。夕日が美しく、平日の夕方ということもあって、静かにのんびりと散歩を楽しんでいた。しかし、思わぬ騒動に巻き込まれることに……。


 浜辺を歩いていると、騒がしい声が聞こえてきた。何があったのかと思って少し近づくと、金髪で背の高い男性を中心に、5~6人の外国人観光客のグループが堂々と浜辺の真ん中でBBQを楽しんでいる姿があった。

「そこは地域の人には景色が綺麗なことで有名な散歩スポットで、『BBQ禁止』『火気厳禁』の立て看板がしっかりと設置されている場所なんです。彼らはポータブルグリルを持ち込んで肉を焼きながら、スピーカーから大音量で音楽をガンガン流している状況で、まるでビーチフェスかプライベートパーティのような騒ぎっぷりでした」

注意しても「No problem!」

“BBQ禁止”無視で大騒ぎ。「No problem」と笑う外国人観光客が警察に連行されるまで
※画像は生成AIによるイメージです
 散歩していた他の人たちも困惑した表情を浮かべるなか、管理事務所の職員が注意しに来た。職員が「ここはBBQ禁止なので」と英語を交えて必死に説明しても、金髪の男性は「OK!No problem!」と笑ってごまかすばかりで、全く聞く耳をもたなかった。

 職員が「困ります。ルールですから」と食い下がると、今度は別の外国人女性が「Why?」と大声で反論。口論はヒートアップし、金髪男性も立ち上がって身振り手振りを交えながら何かを主張し始めた。

 黒渕さんが「うわ~、迷惑な外国人だなぁ~」と思った矢先、予想外の事態が起きた。

 金髪男性の腕がグリルに当たり、「ガコン!」という大きな音とともに砂の上に倒れた。炭と火の粉が砂浜に散らばり、一瞬で辺りは騒然となった。

「近くにいた家族連れのお母さんが『危ない!』と子どもを抱き上げて逃げる姿を見て、私も慌てて愛犬を抱えて少し離れました」

消防車とパトカーが到着

“BBQ禁止”無視で大騒ぎ。「No problem」と笑う外国人観光客が警察に連行されるまで
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 幸い大きな火事には発展しなかったが、煙がもくもくと上がり、周囲の人々はざわついていた。誰かが通報したのか、10分ほどでサイレンとともに消防車とパトカーが到着。消防隊員が迅速に火の処理をし、警察官が外国人観光客のグループに事情聴取を始めた。


 結局、彼らは警察署まで連行されることになった。金髪の男性は最後まで何かを主張していたが、大きな看板があるにもかかわらず、しかも英語の注記もあるなかでの違反行為だった。

「職員の方は『毎年夏になるとたまにこういうことがあるんです』とため息をついてました。インバウンドも大事だと思いますが、外国人観光客には最低限のルールやマナーは守ってほしいものです」

——外国人観光客が、文化や風習の違う土地を訪れてテンションが上がってしまうのはわかる。お互いが気持ちよく過ごせるように早くなってほしいものだ。

<文/藤山ムツキ>

■「BBQ禁止」の看板、罰則があるとは限らない

“BBQ禁止”無視で大騒ぎ。「No problem」と笑う外国人観光客が警察に連行されるまで
※画像は生成AIによるイメージです
 あの看板には、どれくらいの強制力があるのか。調べてみると、自治体によってまったく違いました。地方自治研究機構がまとめた条例の一覧によれば、海岸でのBBQを禁止している自治体のうち、佐賀県唐津市の浜崎海岸は命令に従わない場合に5万円以下の罰金または科料、岡山県玉野市の渋川海水浴場は10万円以下の罰金と定めています。

 いっぽうで、神戸市の須磨海岸、兵庫県明石市、神奈川県鎌倉市の海水浴場は、いずれも条例でBBQを禁止しているものの、罰則の規定はありません。市長が中止を命じることはできても、そこから先の手札がない。職員の方が英語まで交えて必死に説明していたのは、たぶんそういう事情も含めてのことだったのでしょう。

 ただし、看板とは別のところに全国共通のルールがあります。
軽犯罪法1条9号は、相当の注意をしないで燃えるような物の近くで火をたいた者を、拘留または科料に処すると定めています。グリルを倒して炭と火の粉を撒いた時点で、話は条例の外に出ていたわけです。

 観光庁によると、2025年の訪日外国人旅行者数は4268万人。初めて4000万人を超え、過去最高を更新しました。そのぶん、こういう場面に出くわす確率も上がっているということになります。

 金髪の男性は最後まで何かを主張していたそうですが、パトカーに乗るころには「No problem」ではなくなっていたはずです。夕日のきれいな浜辺で、その日いちばん記憶に残る光景がサイレンだったというのは、本人にとってもいい旅の思い出ではないでしょうね。

“BBQ禁止”無視で大騒ぎ。「No problem」と笑う外国人観光客が警察に連行されるまで
※画像は生成AIによるイメージです
<再構成/日刊SPA!編集部>

【藤山ムツキ】
編集者・ライター・旅行作家。取材や執筆、原稿整理、コンビニへの買い出しから芸能人のゴーストライターまで、メディアまわりの超“何でも屋”です。著書に『海外アングラ旅行』『実録!いかがわしい経験をしまくってみました』『10ドルの夜景』など。執筆協力に『旅の賢人たちがつくった海外旅行最強ナビ』シリーズほか多数。X(旧Twitter):@gold_gogogo
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