「お客様は神様」——その言葉を盾に理不尽な要求を繰り返す行為は、いまや「カスタマーハラスメント(カスハラ)」として明確に問題視されています。厚生労働省の「令和5年度(2023年度)職場のハラスメントに関する実態調査」によると、企業が該当と判断したカスハラの内容で最も多かったのは「継続的な、執拗な言動」で72.1%。
暴力や脅迫よりも、頻繁なクレームや同じ主張の繰り返しといった、じわじわ効くタイプが上位を占めています。
コンビニに毎日クレームを入れに来る“迷惑客”。後ろに並んでい...の画像はこちら >>
今回ご紹介するのは、過去に大きな反響を呼んだ人気記事から、神奈川県でコンビニを営む男性の体験談。毎日のように来店してクレームを繰り返す高齢の男性客に、店は打つ手を失っていたといいます。事態を動かしたのは、警察ではありませんでした。

記事の後半では、こうしたケースに遭遇したときに知っておくと役立つ考え方もあわせて紹介します。

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高齢の男性客が毎日訪れるように

コンビニに毎日クレームを入れに来る“迷惑客”。後ろに並んでいた「3人組のギャル」が外に連れ出した結果…/「困った客」の最も多い迷惑行為を調べてみた
※画像は生成AIによるイメージです
神奈川県でコンビニエンスストアを経営している、早乙女大悟さん(仮名・29歳)は、祖父の代から続いていた商店を父親が改装。父とともに経営者として切り盛りし、地域でも古くから愛されているお店となっています。商売がら面倒なお客さんに対面することもありますが、大抵の場合は話せばわかってもらえます。しかし、時にはまったく話が通じない人によって手を煩わされることもあるそうで……。その時の出来事を、苦々しい表情で早乙女さんは明かしてくれました。

「近くにスーパーがないので生鮮商品を売るなど、地域に密着したコンビニとして運営しています。住宅地にあり、近くに高校もあるので自分で言うのはなんですが、繁盛店として愛されています。常連のお客さんも多くて、地域の人が安らげる場所になるように心がけています」

コンビニに毎日クレームを入れに来る“迷惑客”。後ろに並んでいた「3人組のギャル」が外に連れ出した結果…/「困った客」の最も多い迷惑行為を調べてみた
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ある時期から、高齢の男性客が毎日のように来店するようになったといいます。


はじめは普通に買い物していくだけだったんですが、いつの間にかお店のことに文句を言うようになっていきました。キッカケはトイレが汚かったというクレーム。バイトも雇っていますが、我々も家族経営で余裕がない。トイレはあくまでサービスとして提供しているものなので、汚いと言われても……と思ったんです。とはいえ、お客さんなので謝罪してその場は収めました。そこから、何かに付けてクレームを付けるようになってしまったんです

「他店のPB商品がほしい」と難癖を…

どうやら、自分が汚れたトイレを指摘し店員が謝罪したのがうれしかったのか、その男性は些細なことでもクレームを付けるようになったそうです。

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「自分がほしかった商品がないとクレームを付けてきた時は、他社のPB(プライベートブランド)だったので困りました(笑)。『その店ではない』と説明しても理解できないようで、対応した大学生のバイトさんも呆れていました。店長を呼べと言われたというので、他の場所で作業していた自分がかけつけて説明したのですが、その後も数十分にわたって持論を展開。クレーム対応には慣れているのですが、あまりに埒が明かないやり取りにへとへとになってしまいましたよ

ついに実害が出てきてしまった

コンビニに毎日クレームを入れに来る“迷惑客”。後ろに並んでいた「3人組のギャル」が外に連れ出した結果…/「困った客」の最も多い迷惑行為を調べてみた
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『お客様は神様』という感覚が抜けない客もいるようで、とにかく扱いに苦慮したそうです。

「店員が殴られたとか、物を破壊されたなどあれば警察を呼ぶことができるのですが、口頭でのクレーマーなので対応に困りました。それにシニアということもあって、警察を呼ぶとうちが悪いことをしているみたいで、他のお客さんにも影響がありますからね……」

さらに、この男性客は、決まって夕方の一番忙しい時に来店してきてスタッフたちを困らせたそうです。

「決まってレジで会計する時にクレームを入れてくるので、お客さんの列も長くなってしまう。嫌気が差して何も買わないで帰っていくお客さんもいるなど実害が出はじめた。
嫌がらせのつもりなのか、僕が店外に連れ出して話を聞こうとしても、レジの前から動こうとしないんですよ。お客様の身体を触ったりしたら、逆にこちらが警察を呼ばれるので何も出来ず、バイトの子たちも困り果てていました」

後ろに並んでいた「3人組のギャル」が救世主に

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よほど暇なのか、土日関係なく毎日訪れていたんだとか。撃退してくれたのは、意外にも警察ではなく若いお客さんだったとか。

「その日も夕方にふらっと店に来て、良い品がないと大声でクレームを入れはじめ……。そんな時に、3人組で来店してくれたギャルのお客さんが後ろに並んでいたのですが、ブチ切れて男性を取り囲んでキレ始めたんです。レジを待たされ、後ろで理不尽なクレームを聞いていてよほど腹が立っていたのか、ギャル3人は男性を外に連れ出して、総攻撃で説教を始めました

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異様な光景に、他のお客さんが通報したのか警察もかけつけて、事態を収拾することになったそうです。

「自分も責任者として聴取を受けたのですが、ギャルたちは悪くなく、高齢の男性客が毎日来て嫌がらせをしている現状を話しました。警察の方もよく利用してくれている人で理解したようで、喧嘩両成敗でギャルたちは帰宅させ、男性については家族を呼ぶように要請。40半ばくらいの女性が10分ほどで店に来て、警察から事情説明と注意を受けていました。その女性は娘だったようで、我々にも平謝り。今後は、お店に来ないようにさせた上で、何かあったらすぐに連絡して欲しいと携帯番号を置いていきました

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“クレーマー男性”の正体は…

その娘の話によれば、妻が亡くなって1人になったその男性を、前年辺りから引き取って一緒に暮らしているとのことでした。ただ、娘も旦那も仕事に日中は出ているので、野放し状態になっていたそうです。早乙女さんは、今後は同じようなトラブルを起こす高齢者による被害も多くなるだろうと話してくれました。

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「日本全国で高齢者が増え、こういったトラブルも増えるのだろうなと痛感しました。
警察の方も、暴言や理不尽なクレームでも営業妨害に当たるので、すぐに通報してくださいと教えてくれました。でも、毎回、警察沙汰にしているのではお店としては成り立たないのも現実です。そのシニア客は娘さんが言った通りに来なくなりましたが、また同じような事が起きないかと、心配はつきません……」

超高齢社会の到来で、同様のトラブルはさまざまな業界で起こり得る話。我々も、トラブルを起こす高齢者と遭遇した際に、どうするべきかをしっかりと確認しておいたほうが良さそうです。

<TEXT/高橋マナブ>

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■終わりの見えないクレームに、どう向き合うか

コンビニに毎日クレームを入れに来る“迷惑客”。後ろに並んでいた「3人組のギャル」が外に連れ出した結果…/「困った客」の最も多い迷惑行為を調べてみた
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早乙女さんが直面した状況は、決してレアケースではありません。厚労省の同じ調査では、企業がカスハラと判断した行為の内容として「威圧的な言動」が52.2%、「精神的な攻撃」が44.7%と続きます。一度の暴力沙汰なら警察を呼ぶ判断もつきやすいでしょう。しかし「毎日ちょっとずつ困らせに来る」タイプは、どこで線を引いていいか判断が難しく、対応する側のダメージも蓄積していきます。早乙女さんが「毎回、警察沙汰にしているのではお店としては成り立たない」と漏らしていたのも、まさにそこです。

こうした状況に対応するため、2026年10月1日からは、改正労働施策総合推進法により、企業にカスハラ防止のための措置が義務づけられます。相談体制の整備など、店側が一人で抱えなくていい仕組みが、これから徐々に整っていくことになります。

もっとも、あのとき居合わせたギャル3人組のように、客が実力で割って入るのはおすすめできません。
記事のとおり、駆けつけた警察は喧嘩両成敗という扱いにしています。それでも早乙女さんが少しだけ救われたのは、あの日、後ろに並んでいた誰かが「これはおかしい」と声をあげてくれたから。理不尽と黙って向き合い続ける必要はない、ということかもしれません。

コンビニに毎日クレームを入れに来る“迷惑客”。後ろに並んでいた「3人組のギャル」が外に連れ出した結果…/「困った客」の最も多い迷惑行為を調べてみた
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<再構成/日刊SPA!編集部>

【高橋マナブ】
1979年生まれ。雑誌編集者→IT企業でニュースサイトの立ち上げ→民放テレビ局で番組制作と様々なエンタメ業界を渡り歩く。その後、フリーとなりエンタメ関連の記事執筆、映像編集など行っている
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