◆ACLE▽準決勝 川崎3―2アルナスル(日本時間1日、キング・アブドゥラー・スポーツシティ・スタジアム)

 川崎がACLE準決勝でアルナスルを3―2で下し、クラブ初の決勝進出を決めた。今季新加入した日本代表招集歴もあるFW伊藤達哉(27)が1得点し、全3得点に絡む活躍でマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。

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 鮮やかな先制点が生まれた。前半10分、左サイドからの崩しを中央で待ち構えた伊藤はクリアボールの落ち際にタイミング良く右足を振り、ゴール左上に突き刺した。試合前日の練習で同じようなシュートの感覚が良かったといい「幸いにもチャンスが来た。肩の力が抜けていた」と喜んだ。

 167センチと小柄なドリブラーは前半41分にもゴール前への鋭い進入からMF大関の2点目に絡んだ。後半31分にも逆襲から奪ったMF家長の追加点の起点となった。「すごくタフなゲームだったが、チーム全員が一丸となって戦いきれた」。

 柏の下部組織からJリーグを経ずに、ドイツで鍛錬を積んだ。同国2部マクデブルクから今季加入し、自身初のJリーグで戦う。近くて遠い存在だったC・ロナウドらスター軍団とアジアの舞台で対決し「ゲームの世界にいるように一瞬感じたけど、そういうのも含めて楽しめた」と躍動した。アルアハリとの決勝戦(日本時間4日)へ「日本のチームの強さを世界に示したい」と誓った。チームで数少ない新加入選手が攻撃に変化をもたらしている。

 ◆伊藤 達哉(いとう・たつや)1997年6月26日、東京・台東区生まれ。27歳。柏の下部組織からJリーグを経由せずに15年7月にドイツ1部ハンブルガーSVと契約。U―19からスタートし、17年9月にトップチームデビュー。その後、ベルギー1部シントトロイデン、ドイツ2部マクデブルクを経て、今季から川崎に加入。右利き。167センチ、63キロ。

 ◆今季の川崎 クラブOBでもある長谷部茂利新監督が就任。17年から昨季までの8シーズン、リーグ王者4度を含む主要タイトル7冠に導いた鬼木達監督(現鹿島監督)が築いた攻撃力を維持しつつ、長谷部監督が福岡時代に確立した高い守備意識を融合させ、総合力の高いチームへ進化。リーグ5戦未勝利(4分け1敗)でサウジアラビア入りしたが、集中開催の大一番で新たなスタイルが実を結んでいる。

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