◆明治安田 J1リーグ▽第15節 神戸1―3C大阪(6日・ノエビアスタジアム)

 C大阪が敵地でリーグ2連覇中の神戸を3―1で下し、リーグ戦では4試合ぶりに神戸からの白星を挙げた。1―1の後半38分、MF柴山昌也(22)の今季初得点で勝ち越し。

先制を許しながら、カウンター3発で2試合連続の逆転勝利を収めた。負傷者続出により規定より1人少ないベンチ入り19人で今季初の連勝を飾り、12位に浮上した。

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 スタジアムを包む大歓声に酔いながら、ユニホームのエンブレムに何度もキスした。1―1で迎えた後半38分。自陣からのカウンターでゴール正面に走り込んだ柴山は、FWラファエルハットンがつないだこぼれ球を、左足でダイレクトに蹴り込んだ。正確にコントロールされたボールが左ポスト内側に当たってゴールに吸い込まれる。「自分でもしびれました」と、満面の笑みで決勝弾を振り返った。

 身長161センチ。今季のJ1では、160センチの名古屋MF菊地泰智に次いで2番目に低い。体格ではるかに勝るDFと相対することも少なくないが、柴山はチャンスととらえる。「アカデミーの時から、体の小さい選手に夢を与えるということは今もぶれていない。J1で結果を出すことがそれにつながると思う」。

敵地を埋めた2万4891人をうならせる、有言実行だった。

 J1では昨年3月16日の鳥栖戦以来の通算2点目。昨季は28試合に出場しながらこの1得点のみで、今季も前節まで9試合の出場で無得点だった。「惜しいところまでいくけど入らない。どうしてもシュートシーンになった時に焦ったり、いろいろ考えるというのがあった」。支えてくれたのは“恩師”と慕う大宮の下部組織時代のコーチ。「話すだけで前向きになれたり、もう一つ上を目指す原動力になったりする。電話で話したり、本を送ってきてくれたり」。何より届けたかった結果で恩返しし、「夜電話すると思うので、じっくり報告します」と相好を崩した。

 チームは負傷者が続出するなか、ベンチメンバー19人でリーグ連覇中の王者を撃破。柴山は「いろいろ悩んだり、もがいた中で生まれた1点だったので、これまで取ってきたゴールよりも一番うれしかった。4連勝している神戸も倒せて、この連勝は本当に大きかった」と喜色満面だ。

自身の壁を破った“小さな巨人”。連勝街道のキーマンになりそうな予感が漂う。(森口 登生)

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