◆明治安田 J1リーグ▽第15節 浦和0―1G大阪(6日・埼玉)

 G大阪はMF食野亮太郎の今季初アシスト、MF山下諒也の決勝ゴールで浦和に1―0と勝利し、3連勝で5位に浮上した。後半8分、FW宇佐美貴史がDFラインの裏に抜け出して起点をつくると、食野が右足でクロス。

ファーサイドの山下がヘディングでゴール右に流し込んだ。

 昨季は11試合で0得点0アシストに終わった食野。リーグ戦では23年9月のゴール以来となる“スコアポイント”(得点、アシストなどスコアへの直接関与)に「相手が宇佐美くんにつられるし、(黒川)圭介もインナーラップしたのでカットインして、遠くに(山下)諒也くんが走っているのが見えたので。うまく決めてくれたので、あざっす、という感じです」と喜んだ。

 19年夏にマンチェスターCからオファーを受け、約3年の欧州挑戦を経て22年夏にG大阪復帰。同年と23年は出場機会を得ていたが、安定した活躍は見せられていなかった。そして昨季から今季キャンプにかけて、ハムストリングスの負傷に苦しんだ。「(昨季は)肉離れで2か月半休んで、復帰したけど天皇杯決勝の週にもう一度やって。それから(今年の)キャンプ初日で復帰したんですけど、初日にまたやって。人生初めての長い怪我。自分を見つめ直す時間でした」と当時を振り返った。

 ピッチに立てない間、昨季はチームがリーグ4位、天皇杯準優勝と結果を残しており、当然焦りはあった。

しかし「一番はボールに食らいつくところ、球際、切り替えとか、サッカーの原点やし、そこを徹底してやる中で、なおかつ自分の良さを出していこう。まずそっからでしょ、というマインドに切り替えた。熱量を持ち続ける、ってところがすごく大事になってくる、って思えた」と言う。

 その姿の参考になったのが、昨季チームに加わったDF中谷進之介の姿だ。「(中谷)進君を見ていたらそう思った。ほんまに隙がない。(調子の)上がり下がりもないし、相手にも隙を与えない」。どんな試合でも熱量を持ち、DFリーダーとしてチームを引っ張る姿勢に感銘を受けた。さらに宇佐美や倉田、東口らチームを支える経験豊富な選手の姿に「宇佐美君がアキレス腱(断裂)で苦しんでいる姿も、日々地道な作業をしてきたのも見ています。周りに参考になる選手はすごくたくさんいる。見習うべき正しい背中が近くにいる、っていうのは大きかった」とも振り返った。

 前節の湘南戦(3日)で2得点のMF岸本、2アシストのアラーノに代え、食野と山下を両サイドハーフで先発起用したポヤトス監督は「攻守両面でフレッシュさを求めました」とふたりを先発起用した理由を明かした。

さらに浦和のMFサビオ、金子という強烈なサイドアタッカーに対し「後ろ向きに守備をさせたい、という狙いがありました」と説明。そして期待に応えた食野について「あのアシストは彼に値する。本当にいい選手ですし、ガンバの魂をうちに秘めた選手。普段の努力が、値する結果として出たと思います」と評した。

 チームは3連勝で5位に浮上。今後は昨季の主力だったMFウェルトンらの復帰も見込まれ、選手層はさらに厚みを増す。「(前節は2ゴールの岸本)武流くんのらしさあふれるゴールに刺激を受けましたし、自分も何かチームのために、というところで、一つ出たのはよかったです。(山下)諒也くんに感謝です」と話した食野。26歳のアタッカーは、サッカーの本質と向き合い、自らの持ち味を取り戻してチームの武器となりつつある。

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