◆ヴィクトリアマイル・G1追い切り(14日、栗東トレセン)
第20回ヴィクトリアマイル・G1(18日、東京)の追い切りが14日、東西トレセンで行われた。一昨年の2歳女王アスコリピチェーノは美浦・Wコースで自己ベストを更新する6ハロン79秒1をマーク。
ため息がもれるほどの圧巻デモだった。美浦・Wコースで3頭併せの最後方に構えたアスコリピチェーノは、外のラテラルシンキング(5歳2勝クラス)を5馬身、中のシアブリス(4歳1勝クラス)を2馬身半追走。道中の折り合いはピタリとつき、リズム良く運んで迎えた最後の直線にハイライトが待っていた。
わずかに手綱が緩むと、直線入り口で前と2馬身ほどあった差がみるみると詰まる。そのまま並ぶ間もなくパスすると、外に3馬身、中に2馬身先着と驚異の瞬発力を見せつけた。楽々と叩き出した6ハロン79秒1は自己ベストを0秒3も更新。ラスト1ハロン11秒2も十分に余力を持ってのものだった。
1週前の負荷が好影響を及ぼした。7日も同コースでの3頭併せを行い、重馬場で一杯に追われて6ハロン82秒4、ラスト1ハロンは同日の最速となる11秒0。だが、黒岩調教師は「まだ良化の余地がある」と辛口のジャッジだった。ところがこの日は一転して「しっかりと上積みを感じる走り」と合格点。
2度目の海外遠征で勝利した前走は芝1351メートルとキャリアで最も短い距離。それだけに再度のマイル戦を不安視する声も聞かれた。だが、この日はムキになる面など一切見せず。トレーナーも「変化があるかと思ったが、過度な前向きさが進んだ感じはなかった。至って順調」と説明。立ち上げから普段通りに過程を踏めた点も含め、限りなく不安は排除された。23年の2歳女王がまた一歩、古馬のマイル女王に近づいた。(石行 佑介)