バレーボール男子の欧州チャンピオンズリーグ(CL)が18日、ポーランドのウッジで行われ、日本代表主将の石川祐希(29)が所属するペルージャ(イタリア)が決勝でザビエルチェ(ポーランド)に3―2で競り勝ち、初優勝を果たした。欧州CL制覇は日本男子初の快挙。

全セットに先発出場した石川はチーム2位の20得点で、欧州王者の原動力となった。石川は昨年5月に2年契約でペルージャへ移籍しており今年10月には、東京で大同生命SVリーグ初代王者のサントリーとエキシビションマッチ(7、8日・有明アリーナ)を行う予定。

 優勝が決まった瞬間、石川は右拳を握り、大の字の仲間と歓喜の抱擁を交わした。フルセットでザビエルチェを下し、クラブ初の欧州王座に。世界最高峰の舞台で日本人初の偉業に「うれしく思いますし、そのように歴史に名を刻めたということを誇りに思います」とコメント。今季、イタリア1部のリーグ戦では3位に終わった雪辱を果たした。

 大一番での先発起用。チームは第1セット(S)から2セット連取したが、その後は続けてセットを落とした。勝負の最終S。石川は12―10から強烈なスパイクで得点。マッチポイントを握ったサーブでも相手を崩すなど、この日はチーム2位の20得点の活躍を見せた。「本当に苦しい試合でしたし、それでもチャンピオンズリーグを勝てたことをうれしく思います」。

移籍1季目から主軸となった。

 世界最高峰のイタリア1部リーグで迎えた10シーズン目だ。「タイトルを取りたいという思いが非常に強かった」と、昨季4冠のペルージャに身を置いた。アウトサイドヒッターのポジション争いはし烈で、4冠に貢献したオレク・プロトニツキ(ウクライナ)やパリ五輪銀メダルのポーランド代表、カミル・セメニウクらがライバル。世界トップレベルの環境にもまれながら出場機会をつかみ、欧州CLの舞台で躍動。1年目から有言実行して見せた。

 メダル候補の日本を率いた昨夏パリ五輪は、準々決勝でイタリアにセットカウント2―0からまさかの逆転負け。28年ロサンゼルス五輪に向けては「パリで悔しい負け方をした分、次こそはメダルを取れる準備をしたい」と思いを胸に、再スタートしていた。充実のシーズンを終え「来季また(本拠地の)パラバルトンでお会いしましょう」と呼びかけた石川。10月には、日本代表の高橋藍(23)を擁するサントリーとのエキシビションマッチも控えており、日本一と欧州一対決に注目が集まりそうだ。

 ◆石川 祐希(いしかわ・ゆうき)1995年12月11日、愛知・岡崎市生まれ。29歳。

小学4年でバレーを始め、愛知・星城高時代に2年連続高校3冠を達成。2014年に中大に進学し、同年に日本代表入り。同8月にセリエAのモデナと契約。同9月の仁川アジア大会で全日本デビュー。21年に代表主将に就任。同年の東京五輪、24年パリ五輪8強。女子日本代表の真佑は妹。趣味はアニメ観賞。192センチ。

 ◆シル・スーサ・ヴィム・ペルージャ イタリア中部ペルージャが本拠。ホームアリーナは、パラ・バルトン。2001年、前身のシル・バレーとして創設し、同年に下部のセリエC加入。

11―12年にセリエA2レギュラーシーズン(RS)を制しA1昇格。13―14年にRS3位で欧州CLの切符を獲得。17―18年に伊1部リーグ初制覇。昨季は伊1部、イタリア杯、世界クラブ選手権、スーパー杯と4冠達成。

 ◆欧州チャンピオンズリーグ 欧州のバレーボールで最も権威ある大会で、1959―60シーズンにスタート。欧州各リーグの上位が出場権を得られ、20チーム参加。4チームずつ5組に分かれて一次リーグを戦い、上位チームがプレーオフに進む。優勝賞金は50万ユーロ(約8000万円)。

 〇…石川の欧州CL制覇に、日本代表の高橋藍(サントリー)が自身のXで反応した。昨季は自身もイタリアでプレーしていただけに「祐希さんすごっ!! チャンピオンズリーグ優勝はやばいって」と、驚きを込めて祝福した。そして「帰ってきたらお寿司奢(おご)ってもらお!」と、おねだりした。

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