◆プレミアリーグ▽第37節 ブライトン3―2リバプール(19日、ファルマー・スタジアム)
日本代表MF三笘薫(27)が所属するブライトンはホームで日本代表MF遠藤航(32)が所属するリバプールと対戦。この試合は三笘、遠藤両選手ともベンチスタートとなった。
ブライトンのホーム最終戦。4月27日に優勝を決めたリバプール、そして鎌田のクリスタルパレスがFA杯を優勝したことでヨーロッパリーグの出場権を獲得し、欧州戦参戦の夢が散ったブライトンにとっても真剣勝負の意味合いが薄れ、実質的な消化試合となった。
ところが試合はプレッシャーがなくなった両軍ともにゴールを積極的に狙い、見どころ満載の展開となった。
前半9分、リバプールが今季限りの退団が決まったアレクサンダー=アーノルドの後継者ブラッドリーのアシストでエリオットがゴールを決め先制すると、ブライトンは同32分にアヤリのゴールですかさず同点に追いつく。さらには前半アディショナルタイム(AT)1分にソボスライが角度のない右サイドの位置からGKの頭を越える見事なシュートを決めて今季の王者が2―1と勝ち越した。
そして三笘が決めた。後半20分、アディングラに代わってピッチに登場し、その4分後に試合を振り出しに戻す同点弾を奪った。
「僕もどうやって入ったのか分からない点でした」
試合後、本人がそう語ったように、まさに反射神経のゴールだった。しかも自作自演のゴール。後半24分、三笘が見事なスルーパスをウェルベックに通した。これをベテランFWが左足でシュート。しかしこのボールはリバプールの守護神アリソンがセーブした。
そのクリアボールに三笘が反応した。ワンバウンドして腰より高いハイボールだった。それに左足を高く振り上げ、上からかぶせるようにボレーシュートを放った。三笘がたたきつけたボールはこれもワンバンドして、リバプール・ゴールの左隅に吸い込まれた。
「今季ラストのホームゲームで、勝ちが必要だったので。そういうところでいい流れを作ったと思います。今日は動きが悪くない感じだったので、足が上がりました」
消化試合とはいえ、ホーム最終戦で今季の優勝チームに同点に追いつく値千金のゴールを奪った。この後は三笘が“いい流れを作った”と言ったように、ブライトンが押せ押せの展開となった。
そうして三笘が起点となった決勝弾が飛び出た。後半40分、日本代表MFが左サイドに張ったオライリーにスルーパス。このボールに飛びついた24歳デンマーク代表MFがクロスを放って、ファーサイドに走り込んだヒンシェルウッドが押し込んだ。
ところがアシスタント・レフリーの旗が上がりオフサイドの判定。
今季10点目のゴールだった。日本人選手としては初のプレミアリーグ二桁得点。これで同僚FWのペドロ、ウェルベックと並び、チームの得点王になった。
しかし三笘はこの記念すべきゴールについては「もっと高い目標を設定していました」と一言。しかし「最低限ではありますね」と続けて、一応の満足感は見せた。
遠藤は後半32分に右SBとして出場。三笘と対峙する形になった。
試合終了後、最終戦勝利をサポーターにプレゼントして、BBCのマン・オブ・ザ・マッチに選出された三笘は、今季初めてスタンドの前で勝鬨(かちどき)を上げた。
「一回くらいは今シーズン中にやらなくてはと思っていたので」と三笘。くしくも翌日20日は28歳の誕生日。