◆卓球 ◇世界選手権個人戦 第5日(21日、カタール・ドーハ=ルサイル・アリーナ)
【ドーハ(カタール)21日=宮下 京香】混合ダブルスで、世界ランク21位の吉村真晴(31)=SCOグループ=、大藤(おおどう)沙月(21)=ミキハウス=組が銅メダル以上を確定させた。準々決勝で同1位の中国ペア、林詩棟(りん・しとう)、蒯曼(かい・ばん)組を3―1で破る大金星を挙げて、4強入り。
勝利が決まると吉村は体をのけぞらせて大の字で絶叫し、パートナーの大藤は両拳を突き上げた。2度目のマッチポイントで、最後は吉村が力を込めてバックで振り切ると、相手の打球がアウト。世界1位の中国の壁を破った。吉村は「幸せ。30歳を超えてメダルを取れるなんて」と顔をくしゃくしゃにして男泣きだ。それを見た大藤は「泣くと思わなかった」と笑い、「信じられない気持ちでいっぱい。自分は初めてのメダル。本当にうれしい」と笑顔がはじけた。
31歳の吉村と21歳の大藤は昨年10月のアジア選手権でペアを結成。返球は交互で行うため、ラケットを持つ利き腕がぶつかるなど、不利とされる右利き同士とあり世界ツアー2戦で初戦敗退した。
だが、練習を重ねるうちに大藤のサーブから、吉村の強打で得点するペアの必勝パターンを習得。今大会は3戦連続でストレート勝ちし、20日の3回戦は、パリ五輪銀の北朝鮮ペアを圧倒した。この日の中国ペアの準々決勝で初めて1ゲームを失ったが、大藤のサーブから吉村の強烈フォアで、強敵を振り切った。
結成7か月のペアの愛称は、今大会中にファンが2人の「大藤」「吉村」から付けた「大吉」を吉村が見つけ、大藤も気に入り決まった。元旦のおみくじで大吉を引いた吉村は「1番の大吉を引いたので運命的なペアかも」。しかし大藤は「私は吉。縁がないかも」とおどけた。吉村が練習中に「まはる、まわる」と言って回転する芸を披露すると、大藤は「おもろい」と爆笑。その後も吉村がだじゃれを連発し、10歳差の距離はグッと縮まった。
17年の吉村、石川組以来の金メダルへ。
◆吉村 真晴(よしむら・まはる)1993年8月3日、茨城・東海村生まれ。31歳。7歳で始め、山口・野田学園高―愛知工大を卒業。2011年アジアジュニアで日本人初V。12年全日本選手権男子シングルスで大会史上2人目の高校生V(当時)。16年リオ五輪の男子団体で銀。世界選手権個人戦は6度目で、混合複で17年金、15年、19年銀、男子複で17年銅。愛称「マッハ」。
◆大藤 沙月(おおどう・さつき)2004年5月16日、福井・大野市生まれ。21歳。3歳で始め、大阪・四天王寺中・高に進学。21年から全国高校総体女子ダブルス連覇。23年にミキハウス所属。全日本選手権は20年からジュニアの部を連覇。24年アジア選手権女子団体、同複優勝。Tリーグは21―22年から日本ペイント。右シェークドライブ型。女子単の世界ランク8位、同複は同1位。