◆第86回オークス・G1(5月25日、東京競馬場・芝2400メートル)

 ヒロインとヒーロー、両方の座を射止める。オークスに臨むカムニャックを手がけるのは、友道厩舎の花田助手。

来週はショウヘイと日本ダービーに挑む。担当馬が2週連続でクラシックに参戦。「しんどい(笑)。うまくいきすぎですね」。謙虚に大一番を迎える。

 親戚の影響で、小学校高学年から競馬ファン。「馬に乗りたい」との一心で、高校卒業後にアルバイトをしながら阪神競馬場の乗馬センターに通った。週末は阪神で誘導馬の手入れや付き添いを行った後、夕方から大阪の飲食店で働く多忙ぶり。21歳から滋賀県長浜市の三田馬事公苑で競走馬育成に携わり、25歳で競馬学校に入学した。

 卒業から半年後、栗東・福島信晴厩舎でキャリアをスタート。思い出の一頭は、12年デイリー杯2歳S覇者のテイエムイナズマだ。ダービーまでに8戦、菊花賞の後も2戦挟んで有馬記念に挑戦したタフガイ。

「丈夫な馬。能力や乗り味の良さがありました」と懐かしむ。

 18年に福島厩舎が解散し、友道厩舎へ。「高い馬が多かったから、プレッシャーがありました(笑)」。カムニャックも23年セレクトセールで7000万円の値がついた期待馬で、テイエムイナズマと同じブラックタイド産駒。「バネがあって背中がいい。イナズマも跳びが大きかったな、と思い出した」と2頭を重ね合わせた。新馬戦を快勝した後は、折り合いや馬体の左右差など課題が出たが、丁寧に向き合った。その日々が実ったのが前走のフローラS。「偉いのが、めっちゃ(カイバを)食ってくれたんです。攻めないと良くなってこないなかで、調教に耐えてくれました」と目を細める。

 担当馬のオークス出走は初めてだが、ダービーは3回目。

「ダービーは免疫がついているから、ちょっとまし。楽しもうと思っています」と、心を躍らせる。ショウヘイも「跳びが大きくて安定感がある。総合的にいい」と素質は高い。前途洋々の2頭で、初夏の府中を沸かせる。(水納 愛美)

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