◆卓球 ◇世界選手権個人戦 第6日(22日、カタール・ドーハ=ルサイル・アリーナ)
男子シングルス4回戦で、パリ五輪代表の世界ランク30位・戸上隼輔(23)=井村屋グループ=が同種目の日本勢46年ぶりの表彰台に王手をかけた。同10位のダルコ・ヨルギッチ(スロベニア)をフルゲームの激闘の末に破り、初の8強入り。
最後は気持ちだった。3―3の最終ゲーム。戸上は相手に先にマッチポイントを握られたが、逆転して得意の逆回転のチキータで勝負を決めた。床の上に大の字になり右拳を突き上げ、ベンチの上田仁コーチ(33)に駆け寄ってハグ。フルゲームの死闘を制し、初の8強入り。メダルに王手をかけ、「まさか勝ち切れるとは。本当にうれしい」。日本勢唯一勝ち上がった重圧を改めて肌で感じ、涙があふれた。
過去2大会は3回戦止まり。メダルを逃したパリ五輪後は「世界で勝負」すべく2季ぶりにドイツ・ブンデスリーガに参戦。
日本男子のシングルスは1979年大会金の小野誠治以来、表彰台から遠ざかる。日本勢46年ぶりのメダルまであと1勝。プロレス好きの23歳はアントニオ猪木さんのテーマ曲にかけ「日本代表でメダルを獲得できる好機はある。120%の力で炎のファイターとして頑張ります」と闘魂を込めた。
◆戸上 隼輔(とがみ・しゅんすけ)2001年8月24日、津市生まれ。23歳。3歳で卓球を始め、山口・野田学園中・高、明大を卒業。21年アジア選手権で混合、男子ダブルス2冠。世界選手権は21年に男子ダブルス銅。