◆プレミアリーグ第38節(最終節) トットナム1-4ブライトン(5月25日、英国・ロンドン・トットナム・ホットスパーズ・スタジアム)

英国ではプレミアリーグの第38節が25日、全10試合行われ、日本代表MF三笘薫(27)が所属するブライトンはアウェーでトットナムと対戦。この試合も足首と腰に不安のある三笘はベンチスタートとなった。

 先週水曜日の5月21日にヨーロッパリーグ優勝を果たしたトットナムの本拠地はキックオフ前からお祭り騒ぎ。そんな熱気に押されたのか、前半17分、ブライトンDFウィーファーがトットナムFWテルをボックス内で蹴り倒してPKを与えた。このスポットキックをソランケが難なく決めて、ホームチームが1点をリードした。

 前半は精彩がなかったブライトンだったが、三笘が後半の頭から入って流れががらっと変わった。日本代表MFが左サイドでボールを持つと、面白いようにドリブルで縦に抜けてチャンスを作る。同点弾はそんな三笘のクロスがブロックされて奪ったコーナーキックから生まれた。

 後半6分だった。ゴール前のスクランブルで足元にこぼれたボールをヒンシェルウッドが至近距離から右足で蹴り込み1-1。そして同19分、またもコーナーキックからのこぼれ球をヒンシェルウッドが、今度はゴールを背にしてヒールで押し込み、ブライトンがあっという間に2-1と勝ち越した。

 さらにブライトンは試合終了間際の後半43分にPKをゲット。このスポットキックをオライリーがきっちり決めて試合を決めた。

 三笘に今季4つ目のアシストがついたゴールは後半アディショナル3分に飛び出した。

 試合後”今季で一番簡単なアシストだったが?”と三笘に尋ねると、照れ笑いを浮かべて「そうですね」と一言。左サイドから何気に右後ろでフリーだったゴメスにパスを出した。16ヤードボックス外5メートルの位置。20メートル以上離れた位置からシュートはないと見てプレスを緩めたトットナム守備陣の意表を突き、22歳パラグアイ代表MFが思い切り右足で蹴ったミドルシュートは、対角線上のトットナム・ゴール右サイドのトップコーナーに吸い込まれた。

 けれどもこの簡単な横パスを放つ前、三笘は広報から頭を越えて来たロングボールを見事なファーストタッチで足元に収めていた。結果的にこのタッチが三笘にラッキーなアシストをもたらした。

 完全にブライトンの中核になったシーズン。自分が出場してから味方が4点を奪って最終戦を4-1大勝した三笘は「徐々にコンディションは上がっていった印象です。しかしやっぱり代表もあって色々難しいとこもありました。課題もたくさん出ましたし、それをまた次のシーズンに活かしたいと思います」と語り、遠く離れた英国と日本でクラブと代表の大黒柱となったシーズンを振り返った。

 しかし、今季は10ゴールを達成した。この『10』という数字については「悪くない数字です」と言って合格点を与えたが、61点の勝ち点を積み重ねて、欧州CL出場権を握った5位チームとわずか5点差ながら8位に終わり、来季の欧州戦参戦を逃したことで、「もっと伸ばせた数字でもありますし、ヨーロッパ取れてないってところが全てかなと思います」と話して悔しさをあらわにした。

 また、この前日に独スカイスポーツがドイツ王者のバイエルン・ミュンヘンが三笘の獲得に興味を示していると報道したことに対しては、「本当に何も言えないです。分からないです。今はまず自分の体を治すことだけですね。代表に呼ばれてはないので、その期間をまず利用して、まず(故障箇所を)直して次のシーズンに臨むことだけと思います」と語ったが、まだ経験していない欧州CLという舞台でプレーすることについては「もちろんそれは1つの目標です」ときっぱり。

 サウジアラビア移籍を断固拒否して世界の最高峰レベルを目指す姿勢を明確にした28歳日本代表MFに欧州のトップクラブからオファーは来るのか。今夏の三笘からは本当に目が離せない状況となってきた。

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