日本サッカー協会の審判ブリーフィングが28日、都内で行われた。ここでは5月17日の浦和―FC東京戦であった2度のVAR介入による“約8分間の中断”への説明が、佐藤隆治審判マネジャーによって行われた。

 後半35分、浦和は右サイドからのクロスから、中央でネットを揺らした。このシーンはすぐにVARで確認され、まずは中央で頭を振った浦和DFダニーロボザの位置がオフサイドではないと判断され、一度はゴールが認められた。しかし線審より、ボザの後にMF松本が触れていることについて「最後(松本)は当たってないんだな?」「そのままセンタリングが入っているの?」などと確認が入った。VARの担当者は当初、松本のラストタッチを把握しておらず、再度確認のために山本雄大主審に試合再開を待つように指示。結果、スタジアムでは異例と言える1プレーで2度目の「VAR」確認中の表示が行われた。

 まずはボールの軌道がわずかに変わっていたことにより、松本がラストタッチを確認。その際はボザが触っていれば、松本の位置がオフサイドとなる。さらに松本のタッチが腕付近だったこともあり、新たな確認事項も発生した。ここではピッチとVARの緊迫したやりとりなどの音声なども明かされ、両者が通信しながら少しでも早く事実を確認するためのやりとりがあった。しかしボザが触ったか否か、松本にハンドがあったか否か、両方とも映像でも「clear evidence」(明確な証拠)が確認できず。結果、主審の判定に準じて、得点が認められた。

 このシーンは、最初にボザがゴールしたかのように喜びを爆発させたことで“触っていたのでは”という印象が生まれたため、両者のサポーター間で議論もあった。

佐藤マネジャーは「喜んでいるから触れているか、それは証拠にならない。(2度、VARを行った)プロセスはよくなかった。そこは改善しないといけない」と中断時間が長くなったことについての反省点などを述べた。しかしVARが万能ではないことも含め、非常に判断の難しいケースだったことが示された。

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