歌舞伎俳優の尾上松也が28日、都内で行われた歌舞伎「刀剣乱舞 東鑑雪魔縁(あずまかがみゆきのみだれ)」(7月5~27日、新橋演舞場)の記者会見に出席した。

 松也が演出を手掛けて、出演もする新作歌舞伎の第2弾。

今回は鶴岡八幡宮で暗殺された鎌倉幕府3代将軍・源実朝の時代が舞台となる。2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で後鳥羽上皇を演じた松也は「僕自身、大河ドラマでご縁がありましたし、鎌倉時代は面白いんだなと感じていました」。前回も演じた三日月宗近に加えて、悪役の羅刹微塵(らせつみじん)の2役を勤める。

 羅刹微塵は今作から登場するオリジナルキャラクター。報道陣からどんな人物なのか問われると「我々の中でも謎が多いキャラクター。彼が何者なのか。よく分かっていない。壮大なキャラクターになる可能性は秘めている。歌舞伎の枠に収まるのか、いろんな考察をして楽しんでもらいたい」。歌舞伎ならではの演出をふんだんに盛り込む予定で「いい意味の裏切りがないといけない。予想と違うけど、すごくなじみがあったり、心地良さを感じてもらえたら」と語った。

 今回から刀剣男士に中村獅童、中村歌昇、尾上左近が加入した。

「あらしのよるに」などで共演している獅童には「自分で新作を作りたいと思うきっかけをくれた先輩。ある種の恩返しというか、自分がやる新作に出ていただくのは長年の夢だった」と敬意を表し、「比較的、刀剣男士の中では、ご年配ですので、体に負担のないようにしてあげたいと思います」と愛のあるジョークで呼びかけた。

 歌昇と左近からは「ぜひ出たい」と直訴されたという。「歌昇くんは近年、歌舞伎以外の舞台の演出をされたり、意欲的。新作を一緒に作るのは初めてなので、楽しみです。左近くんは『通しの新作に出るのは初めてなので、ぜひ経験したい』と意欲を持って来てくれた。頼もしい。せっかく来てもらうからには、何か今後の役者人生にいい影響を与えられたら」と思いを込めた。

 今回は本編の後に舞踊「大喜利所作事 舞競花刀剣男士(まいきそうはなのつわもの)」を上演する。松也と共に演出を手掛ける尾上菊之丞は「刀剣男士は個性が豊か。舞踊家として『この刀剣男士にはこう踊らせてみたい』と想像したら、面白くて仕方がない。たくさん、アイデアがわき出ている。

踊りの競い合いですね。ライトに言えばパーティー。本編の役柄ににこだわらず、刀剣男士が踊ります」と説明した。

 ほかに中村鷹之資、中村莟玉、澤村精四郎、上村吉太朗、市川蔦之助、河合雪之丞、喜多村緑郎、大谷桂三らも出演する。福岡公演は博多座で8月5~11日、京都公演は南座で8月15~26日に行われる。

編集部おすすめ