◆日本ダービー・G1追い切り(5月28日、美浦トレセン)

 日本ダービー(6月1日)で反撃を期すサトノシャイニングは28日、栗東・坂路でラスト1ハロン11秒9とシャープに伸びた。ディープインパクト、キズナに続く史上初の親子3代制覇が懸かる皐月賞5着馬の手綱を執るのは、祖父、父をダービー馬に導いた最多6勝のダービージョッキー、武豊騎手(56)=栗東・フリー=だ。

 あふれ出るパワーを最後に少しだけ解放した。サトノシャイニングは栗東・坂路を54秒0―11秒9。ラストはシャープな伸び脚で、仕上がりの良さを示した。「馬なりのなかで、しまいを伸ばした。思ったように上がってきていますし、状態はいいと思います」と杉山晴調教師は満足そうな笑みでたたえた。

 5着に終わった皐月賞。外めの16番枠で外、外を回る形になったうえに、道中で他馬と接触。やや折り合いを欠くシーンもあっただけに、決して力負けではない。前進気勢が強く、距離克服へ折り合い面が課題だが、トレーナーは「大丈夫だと思っている」ときっぱり。何よりも、頼もしい名手との新コンビも魅力だ。

 手綱を執る武豊は史上最多の6勝。誰よりも日本ダービーの勝ち方を知り尽くしている。

CWコースでの1週前追い切りで初コンタクト。「もっと乗りにくいと思っていたけど、調教の段階ではそこまではなかった」と感触をつかんだ。ディープインパクト、キズナとの史上初の親子3代制覇がかかる今回。祖父、父に騎乗し日本ダービーを制しており同一騎手となれば、武豊も「たぶん、世界でもないんじゃないかな」という偉業だ。

 「自分が勝った馬の子供に乗れるだけでうれしいし、勝てば競馬の血のドラマを感じる。何回乗っても、何回勝っても気持ちは変わらない。もう1回勝ちたい」。レジェンドのエスコートで、東京の長い直線で光速の末脚をさく裂させる。(戸田 和彦)

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