担当記者が期待の若手を紹介する「NEXTブレイク」。今回はオーストリア1部ザルツブルク移籍で基本合意したC大阪・FW北野颯太(20)を取り上げる。
C大阪の若き至宝から「世界の北野」を目指す。トップ昇格4季目の今季、個人成績はキャリアハイを更新し、ザルツブルク移籍が秒読みだ。海外への思いをより強くしたのは昨夏。7月上旬から約2週間、オランダ1部のアルメレ・シティへ短期留学した。「やっぱりフィジカル。単純に足が速いとか、体が強いとか。アップのジョギングから速いので。『それ、ホンマにジョグなんか?』みたいな」。
その一方で「心を折られたとか、全くそんなのじゃない」と視線を上げる。「日本人の技術とかは、ある程度通用すると思う。Jとは全く違うけど、慣れれば自分の色も出せる」。数的不利の状況も打開できる細やかなボールタッチや、ピッチを縦横無尽に動き回る豊富な運動量を、より高いレベルに持っていくため、常に海外仕様のスピードを意識して練習に取り組んできた。
帰国後はオンライン英会話も始めた。週3~4日でレッスンを受け、度々テストにも挑む。授業以外の日も自らテキストを開いて勉強。「きついです…。ホンマに全くできないから」。3月には苦笑いしていたが、今ではアーサー・パパス監督(45)と英語でやり取り。「全然、余裕です」と言えるほどになった。
新天地での活躍の先には「ずっと憧れてきた舞台」と口にする日本代表入りも見えてくる。手本にするのは、欧州での豊富なキャリアも含め、長く日本サッカー界のトップを走ってきた元日本代表MF香川真司(36)。約2年、チームメートとしてプレーし「小学校の時にユニホームも買って、ずっと見てきた選手。ああなりたいって小さい頃から思い続けて、より一層感じさせてもらった」。だからこそ「真司さんを超える活躍をしたい」。いつかは日の丸を背負って立つ選手に。夢見るステージに向けて、異国の地で研さんを積む。(森口 登生)
北野颯太(きたの・そうた)アラカルト
☆生まれ 2004年8月13日、和歌山・有田市生まれ。20歳
☆サッカー歴 父と3学年上の兄の影響で5歳頃から始める。小学4年時にアルテリーヴォ湯浅に加入し、並行してC大阪エリートクラス岸和田コース所属。中、高はC大阪の下部組織所属。U―23で出場した20年10月25日のJ3G大阪U―23戦でクラブ最年少16歳2か月12日の公式戦デビュー。
☆初ゴール 22年3月2日、ルヴァン杯・鹿島戦でプロ初得点。17歳6か月17日で、13年にMF南野拓実(現モナコ)が記録した18歳2か月7日のカップ戦クラブ最年少得点を更新
☆代表歴 U―15から世代別の日本代表選出。23年、U―20W杯出場
☆好物 すし、エビフライ
☆怖いもの 「おばけ」
☆利き足とサイズ 右利き。172センチ、60キロ。