大相撲の第75代横綱に昇進した大の里(24)=二所ノ関=が29日、初めての綱打ちと土俵入りの稽古を茨城・阿見町の部屋で行った。完成した重さ7・2キロ、長さ4・2メートルの綱を締め、師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)から雲竜型の土俵入りを指導された。

30日には東京・明治神宮で横綱推挙式と奉納土俵入りを行う。同親方が新横綱だった17年春場所で15日間着けて優勝した「赤富士」の三つぞろいをつけ、名古屋場所(7月13日初日・IGアリーナ)での3場所連続Vに挑む。

 2人で幸せをかみしめた。真新しい綱を締めた大の里の真横に、白いワイシャツを腕まくりした二所ノ関親方が並び立った。神聖な土俵入りの立ち位置を細かく指摘。大の里も「はい」と返事をし、動きを確認した。太い両腕で拍手を打つ際には、身ぶり手ぶりを交えて修正を指示した。「形や目線を補足した」と同親方。大関・琴桜(27)=佐渡ケ嶽=ら二所ノ関一門の関取約20人が見守る中、約10分間、直接指導した。

 師弟が恋い焦がれた瞬間だった。大の里は「一つの夢がかなった」と心を震わせると、「これを目標に(師匠を)やってきた。部屋としても一つの夢がかなった」と同親方もうなずいた。

28日の伝達式後から2人で特訓。雲竜型で土俵入りした先輩横綱の映像を見て予習。「大きな体なので、大きく土俵入りを見せることを意識している」と露払いにぶつかるくらいに、手先を伸ばすダイナミックさが大の里流だ。

 30日の明治神宮奉納土俵入りでは、稀勢の里が新横綱優勝した17年春場所の三つぞろいを使用する。日本一の願いを込めた「赤富士」を中心に山裾で「鶴」が舞うデザイン。「僕が一番最初に着けた化粧まわし。これが始まりなんでちょうどいい」と同親方が選んだ。大の里は「感慨深い。親方と同じ化粧まわしをつけて、明治神宮土俵入りできてうれしい」とほおを緩めた。

 太刀持ちは師匠の弟弟子で、17年1月27日に明治神宮土俵入りで太刀持ちだった元大関・高安(35)=田子ノ浦=が務める。「僕の太刀持ちも長かった」と同親方が依頼したもの。大の里が7月の名古屋場所で新横綱Vならば、14年夏場所から6場所連続で制した白鵬以来となる3場所連続V。

験も担ぎつつ、大横綱への第一歩を踏み出す。

 この日は部屋で、土俵入りのために新しい綱を作る「綱打ち」が行われた。完成した綱の長さは4・2メートル、重さ7・2キロで師匠のものより少し大きめ。純白の綱を締めると「小さい頃から見ていた横綱の綱を初めて締めて、ようやく実感がわいてきた」と言葉に力を込めた。30日の都内の天気予報は、あいにくの雨だが「晴れて多くの人が来てくれたらいい」と大の里。令和初の和製横綱がいよいよお披露目を迎える。(山田 豊)

雲竜型「ゆっくり、堂々とやりたい」

 ◆大の里に聞く

 ―二所ノ関一門の関取衆が集まっての綱打ち。

 「みんな(大相撲の)先輩でもありますし、場所休みに時間を割いてくれた」

 ―師匠の二所ノ関親方に横綱土俵入りの指導を受けた。

 「この土俵で親方から教えてもらう。そのイメージを持って、この部屋に入ってきた」

 ―意識した点は。

 「堂々とやることを意識した」

 ―見せ場であるせり上がりの出来は?

 「雲竜型の代表的な場面でもある。大事にして練習した。

ゆっくり、堂々とやりたいと思う」

 ―点数をつけるなら。

 「自分の映像を見ていないので、正面からみるとどんな姿なのかわからない。まだ少し(動きが)速かった気がする」

 ―高安関が太刀持ち。

 「幕内のなかでもベテラン。そのなかで太刀持ちをやってくれて感謝。千秋楽の前夜にパレードの旗手と太刀持ちをやってくれると言われ感謝している」

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