◆第92回日本ダービー・G1(6月1日、東京競馬場・芝2400メートル)
昭和元年から90年目の15年は、ラグビーのW杯イングランド大会で日本代表が2度の優勝(当時)を誇る南アフリカを相手に大金星を挙げて日本中が歓喜。国内では外国人観光客が殺到して家電などを大量に購入し、「爆買い」が流行語大賞に選ばれるなど海外との結びつきが強い一年だった。
この年に行われた第82回日本ダービーも、イタリア出身のミルコ・デムーロが騎乗したドゥラメンテが世代の頂点に立った。皐月賞は出遅れながら直線で末脚を爆発させてのG1制覇。そのパフォーマンスが評価されて、単勝1・9倍と断然の1番人気に支持された大一番は、スタートを決めて道中は中団で運ぶと、直線は馬場の真ん中から危なげなく抜け出して2冠を達成した。「1、2コーナーでちょっと引っかかったけど、直線で手前が変わったらすごい脚。チョーウレシイ。日本の騎手になってよかった。すごく感動した。夢みたい」。この年の3月にルメールとともにJRAの騎手免許を取得したばかり。03年のネオユニヴァースに続く2度目のダービー制覇だったが、“日本の騎手”として喜びもひとしおだった。
勝ち時計2分23秒2は父であるキングカメハメハ(04年)、そして無敗の3冠馬ディープインパクト(05年)の記録を0秒1上回るレースレコード。母アドマイヤグルーヴ、祖母エアグルーヴと名牝の血が流れる超良血の、記憶にも記録にも残る勝利となった。
それからちょうど10年。今年はドゥラメンテのラストクロップとなる4頭が、父子制覇、そして初の親子3代制覇の偉業に挑む。(西山 智昭)=終わり=